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第一節
カノンは昔から自分のことをあまり語りがらない女の子でした。
ムムという、奇妙な友人ができなければカノンの人生はこの結末にはならなかったでしょう。しかしカノンは、こうなってしまったことを後悔していないと思えてなりません。
彼女の優しさで満ちた情景を伝えられればいいなと思います。
赤い視界と、鼻に付く臭い。その全てが私の寿命を告げている。
息はまだ持つが、それでもうっとおしい煙が邪魔して苦しい。死ぬつもりなどない私の眼は逃げ場を探すが、どこを見ても赤い揺らめきが視界を遮る。つまり逃げ場はない。諦めるしかないのだ。たった十八の人生だったが、それでも思い出くらいはある。今はそれを思い出すことの方がいいのかもしれない。
ふっと息を吐き、目を閉じて、思い出す。
あの輝かしくも誇らしい彼女のことを。




