苦死引き
今日はいつもより多めのお小遣いを貰い上機嫌の魔王、今日も地球に降りてきた。
「カルガンヌ!今日もあの祭りとやらに行くぞ!」
「魔王様、あのうまい棒というものを買わねば行けませんぞ。」
魔王は、魔神様に頼まれたものを忘れかけていた。
「は!?忘れておったわ。カルガンヌ。買ってまいれ。場所など分からぬからな。」
「はっ。」
と言ってどこかへ向かっていった。
「ふむ。何をしようか。」
何も思いつかないまま祭りを歩き回っていた。
それはそうだろう。お小遣いもカルガンヌが持っているし日本語も話せはするが読めないのだから。
疲れて椅子に座った頃
「魔王様!探しましたよ。」
カルガンヌが息を切らせながら走ってきた。
「カルガンヌ。大丈夫か。うまい棒とやらは、買えたのか?」
「はい。買えましたがその後、魔王様を探すのに苦労しました。魔王様、この世界で変身しておられますから魔力反応が変わっていて目で見つけないといけなかったのですから。」
「あぁ。すまぬな。少し休憩したら少し行こうではないか。気になるところがあってな。」
そう言って十数分ほど休みその店に向かった。
その店とは
「あのてっぺんに動物が縛られているところだ!」
一番上に賞品として動物が飾られたくじ引き屋だった。
「魔王様。あれはですね……くじ引きというものですね。意味は少し分かりませんが……」
「苦死引きか……。恐らくあの動物が苦しんで死ぬ前に引いて助けよ。そういうことなのだろう!行くぞ。カルガンヌ。」
そう言って屋台へ向かった。
「くじ引き。するのかい?」
「ああ。あの動物を引いてやる!!」
「動物?あぁ、熊のことかい。一等賞だねぇ。当たるかなぁ。」
そう言ってニヤニヤしながらこっちを見てきた。
「絶対当ててみせる!」
そう言ってくじ引きを始めた。
しかし、当たらない。
「当たるまでやってやる!」
そう言ってやる回数が増えるごとに周りの観客も増えていった。
「もっとやれ!兄ちゃん。当てちまえ!」
1人の観客が皆の声を代弁するかのように大声で言った。
「おう!!当ててみせる!見ておけ!!」
そう言ってまたくじ引きを始めた。
だがいっこうに当たらない。
使った金額が5万円を超えたところで
「あれ、入ってないんじゃないか?」
「詐欺ってるだろ。あれ。」
などなど、言われ始めた。
「に、兄ちゃん。そろそろやめねぇか?」
店主が顔を青白くさせていってきたが魔王が辞めるはずもなく
「ここまで来たのだ。最後までやってやる!」
そう言って使った金額が10万円を超えた頃
「すいませんが、少し確認作業してもいいですか?」
後ろから声をかけられた。
警察だった。
「あ、あぁ良いが、早くしてくれよ。一等賞とりたいのだ。」
そうして、少し経ってから
「お兄さん。この店には一等のくじが入っていなく、詐欺行為でお金は返還することになりました。」
そう言われて店主の方を見てみると
悲壮感を漂わせていた。
「魔王様、今回は騙されていたようです。」
と、カルガンヌに言われた。そうして魔王は
「店主!!我はもう一等に当たっておったな。そうであろう!」
と、嘘をついた。
その魔王の優しい嘘に対し、誰も手伝おうとはしなかった。
「店主!この動物はもらうぞ!!そこの人ら、我が既に一等を取っていたから一等がなかったのであろう。」
そう言って庇った。
警察は
「はぁ、あなたがそれでいいなら良いですが……次からはちゃんとしないといけないぞ!」
と言って帰って行った。
「店主、次からは悪いことはしないようにな。」
と言ってぬいぐるみだけもらって帰って行った。
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「魔神様、今回はうまい棒というものとこの動物を苦死引きというものから助けてまいりました!」
そう言ってクマのぬいぐるみとうまい棒を渡した。
「うまい棒は良くやった。この動物は……『鑑定』ふむ、鑑賞用の作り物のようだ。可愛いのう。もらっておこう。娘に渡しておく。」
「はっ。今日までは祭りという集まりがありそこの調査をしてまいりました。しかし、今日で終わりのようなのです。どうすればいいでしょうか。」
と聞いてみると
「ふむ、そうか。何かあちらの世界の技術がよくわかる物を調査してこい。」
そう言われた。
「はっ!!」
今日も魔の世界はいい世界である。
明日はこの作品も休止です。
明後日から毎日更新にします!
他の作品も良ければ見てください。