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4.魔法陣

部屋へ戻って体を拭くとすっきりした。そういえば、琥珀石を持ってきてしまった。懐から取り出して、眺める。月の光に反射して輝いている、小さいそれを机の上へ置く。

「これをまたドラゴンに戻すことは可能なのかしら」

仕舞われた手記を取り出し、琥珀石化の方法を改めて見る。ドラゴンを捕まえ、魔法陣の中に閉じ込めたのち、呪文を唱える。すると不思議なことに琥珀石と化してしまう。

「仕組みがわからないわ」

魔法陣に秘密があるのかしら。

使われていない紙とペンを勝手に拝借し、図面を書いてみる。書いてみると一瞬だけ光り、消えた。

「魔法陣を変えて呪文を逆にしてみたら…うーん」

残念ながら魔法陣には詳しくない。だが、時間はたっぷりとある。

ああでもない、こうでもないと魔法陣を描きまくったところで、思いついた。

「魔法陣は変えずに、呪文だけ変えるのはどうかしら」


汝の者も許すべからず

この呪文により輝きとなれ

アンバー・チェンジ・ザ・エンドオブザ・ワールド


正直、こんなちゃっちい呪文で本当にドラゴンが琥珀石になってしまうのか疑問だが、やってみる価値はあるだろう。

「たとえば…アンバー・チェンジ・ザドラゴン…なぁんてね」

そう言った途端、魔法陣の上に置いていた琥珀石が輝き出した。それはみるみる間に眩しくなる。目を瞑って光が落ち着くのを待つ。目を開ければ、そこにはーー手のひらサイズのドラゴンがいた。

「え!?」

「ガウ」

ドラゴンはパタパタと羽を広げて毛繕いをしている。

ど、どうしましょう!?成功したの!?まさか!

動揺していると、部屋のドアがノックされた。あわあわとしているうちにドアが開き、ジャスミンが現れた。

「シャーロット様、汗かいていませんか?大丈夫ーーは?」

「あ、あぁあ、ジャジー違うの、あのその、これは…!」

呑気に毛繕いをしているドラゴンと、慌てふためくシャーロットを見て、ジャスミンが訝しげな顔をした。

「盗んだのですか」

「違うわよ!琥珀石を拾ったから、試しにちょっと弄ってみたらドラゴンになったのよ!」

「何を言ってーー」

呆れたようにジャスミンが言うが、机の惨状を見て理解したらしい。

「すぐにスティーヴン様を読んで参ります」

「えっ、あ、怒られるのかしら」

「何を言っているのですか!貴女は感謝されるんですよ!」

「ええ?」

理解できないうちに、ジャスミンがパタパタと走っていった。暫くして、スティーヴン、ロゼッタ、オスカー、ジャスミン、そして村長のグルーストが来た。怒られるかと身構えていたら、グルーストが「嗚呼…!」と感嘆な声を上げた。

「シルフィー!シルフィーじゃないか!」

泣きながらドラゴンを持ち上げる。頬擦して散々感嘆な声を上げたのち、こちらを見た。

「一体どうやって…!?シルフィーを戻したんじゃ!?」

「いえ、私にもよくわからなくて…」

「他の…!他の琥珀石も変えれるかのう…!?なぁ!嬢ちゃんよ!」

凄まじい勢いで来られ、身を引いたら、スティーヴンが「じいさん落ち着け」と言った。

「話は明日聞こう。夜も遅い」

「だが…!」

「シャーロットの魔力が枯渇している。エネルギーを相当使った筈だ。休ませてやってくれないか」

「ふむ…。わかった」

枯渇?そう言われてみれば、なんだが体に力が入らないわ。

かくんと膝から崩れ落ちそうになった時、スティーヴンがさっと支えた。

「さぁ、今日はお開きだ」

その言葉を聞いて、気を失った。

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