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19.出発
「支度は整ったか」
「はい!」
スティーヴンが部屋に訪れた。ボストンバックに荷物をちょうど詰め終わった時だった。それをジャスミンが下の階へ運びに行く。
「遅い出発になってしまったな」
「本当ですね」
滞在予定は三日間だった。それが体調不良と事件で二週間程引き延ばされてしまった。
「クーンメイン王国に愛着が湧いてしまいました」
「そうか。では、また来よう」
「はい!」
階段へと向かうスティーヴンを呼び止め、ずっとポケットに入れていたアクセサリーを取り出す。
「スティーヴン様、これを」
「なんだ?」
「御守りです。この国で買いました」
黒真珠のネックレスを渡すと、それをまじまじと見て笑う。
「ありがとう。大事にするよ」
鼻歌でも歌い出しそうな勢いで喜んでくれた。くしゃくしゃと頭を撫でられ、上機嫌のスティーヴンと共に階段を降りる。するとエントランスはもう開いており、馬車が用意されていた。
「さて、次の国へ参ろうか」
「はい!」
スティーヴンの手を取り、馬車に乗り込んだ。
これにて三章終了です。




