13.お出掛け(後編)
アクセサリーショップまでは遠くなかった。店を出てすぐ、露店の続く道を歩いていると、アイナが振り返った。
「ここよ!広いから迷わないようにね」
店に入ると、中はアクセサリーで埋め尽くされていた。真珠のネックレスにイアリング、珊瑚礁のアクセサリーに貝殻の栞など、様々なものが置かれている。
「まぁ。すごいわね」
「でしょう?カイ王子に何か買って行こうかしら。シャーロットもそうしたら?」
「ええ、そうするわ」
並べられた商品を見ながら、スティーヴンに似合うものを探す。ネックレスのコーナーで一つ目につくものがあった。黒真珠のついたネックレスだ。
「あの、これって」
「あぁ、これはね、魔除けだよ。御守り」
店主がそう言い、ネックレスを手に取る。
(魔王様に魔除けは失礼かしら?)
まじまじとそれを眺めていると、アイナが寄ってきた。
「それにするの?」
「お似合いになるかしら」
「ええ!いいわね。素敵だわ」
アイナの一押しもあって、それを購入した。忙しい身の上、お守り一つあってもいいだろう。
「アイナは何にしたの?」
「貝殻でできた指輪よ」
見せてもらったそれは可愛らしく、キラキラと輝いていた。
「ピンキーリング。お揃いにするの」
大事そうにそれを仕舞い、アイナが笑う。愛し合っているのだと伝わってきて微笑ましい。素敵ね、と返そうとした時、突然爆風が吹き荒れた。驚いている間に、煙幕のような砂埃が立ち込める。一気に視界が悪くなり、辺りが見えなくなった。周囲の騒めきの音と共に、硝子の割れる音がする。
「シャーロット様!」
ジャスミンの声に答えようとした時、口元を何者かに覆われた。驚いて踠くが、びくともしない。
「お前がアイナだな。声をあげたら殺す」
ひやりと冷たい刃物が首元を掠めた。喉を引き攣らせながらも頷き、男に従う。喧騒の中担ぎ上げられ、その場を後にする。
ジャスミンとアイナは無事だろうか。自分の心配などよそに、他人の心配をしていると、馬車の荷台に乗せられた。ロープで手足を縛られ、目隠しをされる。大人しくされるがままになっていると、馬車が走り出した。




