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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆軽口は死を招いて生を実感する話
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第九十六話:愚か者の末路。そして……。


「ひゃ、ひょれはいっひゃい…」



「おお、いい忘れておったが悪魔というのは契約して相手からエネルギーを得る事によって存在しておるのじゃ。勿論望みを叶えるためにもそのエネルギーは必要でのう?その望みが大きければ大きいほど必要なエネルギーは大きくなるのじゃ」



 俺もそれで酷い目にあったのだ。ただその規模がちょっと違いすぎた。ご愁傷様としかいえない。大きなことを望んだ結果だから受け入れてもらうしかない。




「ひょ、ひょんな…だましひゃのか」



「騙す?そんなわけなかろう。現にわらわはお主の望みを叶えてやったのじゃ。ただちょっと説明するのを忘れていただけじゃよ。悪魔のちょっとしたおちゃめくらい許せる甲斐性を持ってもらわねばのう」



「ぐっ、きょ、きょんなの無しひゃ!このへーひゃくはなひひゃ!」



「…?いったいお主が何を言っているのか解らぬのう?もっとはっきりした言葉で言ってくれないとわからぬわ」



 相変わらず冷酷無比である。支部長はもはやまともに喋る事もできず身体から水蒸気をあげてどんどん痩せこけていく。



「ひ…ひひゃま…い、いやひゃ…こんな…おひゃり…は…い、ひゃ…」



 そして支部長だったものはただの干からびた骨と皮だけの物体になった。



 そして、最終的にはそれすらも残らずただの茶色い粉になってしまった。



「…本当に人とは愚かな生き物よな。自分の事しか考えないような阿呆にこの結末はお似合いじゃよ。まぁ最初から人の為に望みを叶えた人間は一人しか知らんが」



 そう言って白雪は笑いながらこちらに振り返る。




 白雪、忘れているのかも知れないが俺の一番最初の願いは一万円くれ、だ。




「さて、ここに無所属無契約の悪魔が一人いるわけじゃが…そんな悪魔を救う優しい殿方はおらんものかのう?」



「…おかえり、白雪」




 俺がそう言って白雪に手を差し伸べると白雪は少し呆れたようにため息をついた。



「ほんとにお主はつまらん奴じゃのう…まぁそういう輩だからこそ、わらわの主はお主だけじゃ。さて…帰るとするかの」



 そして白雪は俺の手を取る。



「ちなみに、お主の負債はまだまだ残っておるから覚悟するのじゃ。これからもまだまだ楽しませてもらうからの」



「へいへい」




 その後他愛も無い話をしながら俺たちは地下の通路をゆっくり、時間をかけて地上を目指す。



 その道中に転がっていた連中は、面倒なので見なかった事にした。



 そのうち起きて勝手にそれぞれ帰っていくだろう。咲耶ちゃんが引き摺ってきたあの風呂掃除の人はあのあと目が覚めてすぐ涙目でどこかへ逃げていってしまった。


 ここの後始末をどうするか悩ましいところだがそれは後で有栖あたりに相談しよう。



 今俺に出来る事は無いし、出来たとしてももう出来る限り関わりたくない。



 二人で外に出ると、入り口で皆が仁王立ちしていた。



「おとちゃん…結果的にうまくいったからいいようなもののちょっと無理しすぎなんだよ…でも、無事でよかった。おかえり。白雪さんも」



「ほんとに、無事でよかったですわ…もし乙姫さんに何かあったらどうしようかと…べ、別に他意はないんですのよ?ないんですけれど…あまり心配させないで下さいまし」



「お前さぁ…楽しい所で退場させるとか鬼かよ…まぁ無事で帰ってきたならそれでいいけどさ。これでしばらくはまた大人しくつまんねー教師業に戻れるってもんだ」



「ふ、二人が無事でよかったわ。途中で出てきちゃってごめんなさい。でも私は信じてたわ。貴方ならやれるって」



「人魚様がこれだけ心配して下さっているんだから有りがたく涙を流して喜ぶであります!」



「ほんとに何もなくてよかったですぅ~万が一の時はどうしようかと思ってましたけどぉ~そこの悪魔さんもちゃんとやる事やってくれたみたいでよかったですぅ♪」



「…大体ネムの力で何がおきてたかは見てたけれど…アンタほんとに馬鹿なんじゃないの?みんながどれだけ心配してたかわかってる?…アンタって…なんて言えばいいのかしら…えっと…えっと…とにかく馬鹿!」



 …皆に沢山心配をかけてしまった事は本当に申し訳ないと思うが、これだけ俺の事を心配してくれた人たちが居るっていうのはありがたい事で、こんな仲間が出来たっていうのも元はといえば白雪が居たからである。



「お主モテモテじゃのう。なんだか腹立ってきたのじゃ」




「…まぁ、こんなモテ期が俺の人生にあったっていいじゃないか。こうなったらみんなまとめて相手してやるぜ」



 その後その場にいる全員から「調子にのんな!!」というお叱りの言葉と一発ずつのボディーブローを頂いた。 



 せめて咲耶ちゃんとハニーだけはもう少し手加減してくれてもよかったんじゃないか?




 無事に生還したっていうのに俺は今になって確かに死を感じた。



 でも、同時に感じる。





 これでこそ生きてるってもんだよな。


















 その光景を少し離れた高台から見下ろす男がいた。





「本当に、変なところで会いたくないものだよ」







今考えるとここで唐突の三人称は流石におかしい。

自分への戒めとしてそのままにしておきます(笑)

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