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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆軽口は死を招いて生を実感する話
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第八十九話:知らない人達。


「…わがったから、もう爪はばがさないでぐれ」



 心なしか少し聞き取りやすい声になってきた気がする。思い切り叫んで喉が通ったのだろうか…そんな改善方法は嫌だなぁ。




「その、づくえの二段目をあげてみたまえ」



 泡海がふんぞり返っている机の事だろう。



 いばらがささっと駆け寄り引き出しを開ける。




「何やらボタンが二つあるであります!」



 そう言って引き出しの中から四角いボタンを二つ取り出し、机の上に並べた。



「これは何のボタンなのかしら?」



「それは…がくし扉をあけるためのボタンだ。ただし二つ同時に押さなければいびがないぞ」



「その隠し扉の先にあの腕輪を隠してあるって事ね。いばら、その隠し扉の事は知っていた?」



「いえ、私は知らないであります」



「そう、どちらにしても押してみるしかなさそうね」



 そう言って泡海が二つのボタンを同時に押し込む。



 その瞬間けたたましいサイレンが響き渡った。




 やられた!



「おとちゃん、これ…」



「ああ、あいつまだ諦めてなかったのか」



 ここに来て悪あがきをするとは思わなかったが、このサイレンで支部内に残っているエージェントもここに集合してしまうだろう。



 なら早く腕輪のありかを吐かせないと。



「貴方…よくも私を騙してくれたわね」



 泡海がキッと支部長を睨むが、今まで支部長が転がっていた所には既に何もなかった。




「がははははっ馬鹿め!縄抜けくらい昔の修羅場で必要に駆られてマスターしているわ!」



 必要に駆られて縄抜けを覚えるってどう考えても捕まってるじゃねぇかこいつろくな人生送ってきてないな。



 そんな事よりも、縄を抜けた支部長は泡海が居る机から見て右側の壁にある本棚の前にいた。



 いや、正確には本棚があった場所にいた。



 すでに本棚はスライドしていて隠し部屋への入り口が開かれていたのだ。



「嘘なんて言ってないぞ。泡海君、君が押したのは警報装置とここへの鍵、その両方だよ。ちなみにここは数秒すると…」





 がちゃーん!と勢いよく上からガラスが落ちてきて入り口を塞いだ。




「これは特殊な強化ガラスだ。もはやこちら側からしか開けられない。あとは私がここに篭城している間にお前らは針のむしろ袋のネズミだ!」



 よく喋るようになったものである。



 しかしこれはよくない。あちら側しか開かない上にここに敵が大挙してやってきたら…




 うぉーんうぉーんうぉーんうぉーん




 けたたましいサイレンが鳴り続き、次第に外が騒がしくなってきた。



「仕方ないなぁ…ボクが行ってくるんだよ」



「おい、ハニー。数がわからないんだから無理するな」



 それでもハニーはこちらにニコリと笑みを見せ、「行ってくるんだよ」と扉を開けた。



「これでお前らも全滅だ!ざまぁみろ!」



 一人テンション上がっている支部長を見ているとイライラする。



 折れた腕をプラプラさせているのでひとしきり飛び跳ねてから痛い痛いと喚いているのがひどく滑稽である。



「支部長!侵入者を捕らえました!」



 その時外から声が聞こえてきた。



 誰かが捕まった?ここに居ないのは誰だ?アルタ、ネムさん、多野中さん、あと咲耶ちゃんか。



 わからん、正直誰も捕まるような人とは思えない。アルタにはネムさんがついてるし多野中さんと咲耶ちゃんは心配する意味が無い気もする。じゃあいったい誰が…?



 外に出て行ったハニーが困惑した声をこちらに向けてきた。



「…おとちゃん、全然知らない人達が捕まってるんだけど…気にしなくていいんだよね?」



「なんだ?お前らの一味が捕らえられたんじゃないのか?おい、外の奴ら、詳しく状況を説明しろ!」



「し、支部長!?こいつは何者ですか!?」



「侵入者だ馬鹿め!まだ部屋の中にもいるぞ!早くなんとかしろ!!」


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