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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆不幸が終わる話
52/105

第五十二話:彦星アルタの場合・4

 殺意こそあれ興味など湧くはずがなかったのだが、星月乙姫には悪魔が憑いていた。



 それがアルタの境遇と近いのではと思い、初めて自分から他人に接触を試みる事になる。



 利用価値があると思っての事だったが、結果は悪魔の力で契約を切る事が可能でも宿主が死ぬとの事だ。



 アルタにとって乙姫が死ぬ事などどうでもよかったが、相手の悪魔がそれでは困るだろう。自分の命を危険にさらしてまでこちらに協力してくれる筈がないのだ。



 そう、思っていた。



 なのにあの時あの少年は言ったのだ。




 飛び交う悲鳴、立ち上る黒煙。



 その場の解決など、エネルギーに余力のあるアルタに頼めばよかっただけなのに。



 あの少年は、星月乙姫はアルタに微笑みながらこう言った。




「悪い、どうせ死ぬならそっちの契約解消してやりたいけど、どうもできそうにねぇや」



 そう言うと、彼は自らの悪魔に、拒否する悪魔に無理やり命令をし、平和を取り戻した。



 悔しい。



 余力があるのにも関わらずあの場で彼のように出来なかった自分が、悔しい。



 別に人々を守りたいと思っている訳ではないし他人など何人どんな死に方をしようと知った事じゃない。



 ただ、目の前で自分の命を失ってでも人を守ろうとした人間がいた。



 もっと安全にそれを実行できるアルタが目の前に居たのに、である。



 それが悔しかった。



 頼めばいい。



 頼むアルタ、何とかしてくれ!



 その一言でアルタは動いたかもしれない。



 動かなかったかもしれない。



 それは問題じゃない。



 人に任せれば安全に解決する手段が目の前に転がっていて尚自分を犠牲にする馬鹿がこの世に居るのだという事が理解できず、それを見ている事しかできなかった事が悔しい。



 アルタはその場から逃走した。



 倒れ行く乙姫、その周りに心配そうに集まる乙姫の友人たち。



 そしてそれを何事かと不審そうに見つめる大勢の平和ボケした人間共。



 アルタはその場に留まる事が出来なかった。



 そんな光景を信じられず、受け入れられずに逃げ出した。



 それが一番悔しい。




 アルタは決意する。



「あいつにもう一度会ってアンタはいったい何考えてるんだ馬鹿なの死ぬの?って罵倒してやるんだ」


「アルちゃんは素直じゃないですぅ~お礼言いたいだけでしょ~?


 うるせー。




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