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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆不幸が終わる話
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第四十八話:人魚泡海の場合・3

「あの場に…もう一人悪魔がいた可能性がある。次はそちらにあたってもらいたい」



「各地に居るその候補の近くにいるメンバーに頼めばいいのではありませんか」



 泡海はうんざりしていた。他に居るならそいつらにやってほしかった。



「いや、こちらとしてもあまり悪魔の存在を大人数に知られたくはないのだよ。君が今一番悪魔という存在に近しい。なら君に担当してもらうのが得策だろう。必要なら引越しもこちらで手配する」



 勘弁してほしい。泡海は今の生活を壊してまで任務を続けたくはなかった。



「お言葉ですが、私は今回漁夫の利のようなもので、特に自分から特別な事はしていません。他の人にやってもらっても同じような結果だったかと。それに…あれは悪魔ではなく天使です」



 うかつにも余計な事を言ってしまったと気付いたのはその言葉を聴いた支部長の反応を見てからだった。



「なんだと!?天使…?いや、そういう可能性もあるのか…悪魔と天使をまとめて捕獲できれば…我が地位は確たるものに…いずれ頂点に君臨する事も…君、その口ぶりならもう接触しているのだろう。速やかに行動に移すように。勿論断れば君の罪は広く知れ渡る事になる」



 また脅迫である。この話し方だと彦星アルタが宿主なのも組織は既にあたりをつけているのだろう。



 そういう波長のような物を読み取れるような機材でもあるのだろうか。






「一つ聞きたい事があるのですが…」



「なんだ?言ってみたまえ」



「私が学校内でしていた事について本部や他の支部には報告しているのでしょうか…」



「なんだそんな事か。心配はいらん。まだその情報はここで止めているよ。万が一報告をあげてあんな小犯罪が原因で君を処分なんて話になってしまってはこちらも有能な駒を失う事になる。いばらだけでは荷が重いからな」




 泡海は「安心しました」と支部長に告げる。





 が、本当は二つの意味で安心していた。一つは支部長がいばらという名前を洩らした事。それは二年三組の棘野とげのいばらという女性だ。泡海のデータに登録済みである。



 いばらが組織の一員であるとするならば、そいつさえ締め上げれば秘密を知るものは居なくなる。支部長は言った。「いばらだけでは」と。なら学内に潜入しているのは私といばらだけであろう。黙らせる事は容易い。



 もう一つは、秘密がこの支部で止まっている事。先ほどの事情と合わせて考えるに、




 この支部をぶっ潰せば全て解決するのだ。






「あぁ、それと。一つ言い忘れていたが念の為にもう一つだけ人質、というか物質を取らせてもうら事にしたよ」



 まだ何かあるのか。一体これ以上私の何を奪うつもりなんだこの男は。



「君も自室では油断すると見える。いばらに君の部屋を捜索してもらった。何やら面白い物を見つけたそうだよ。PCに挿しっぱなしにしておくなんて無用心極まりないね」







 絶望。








 この世の終わりだ。








 あの男から奪い返したあのSDカードそのものを確保された。



 もしもの事があれば私はもうあの中身を一生見る事ができないのだろうか。



 それは困る。絶対に取り返さないといけない。



 一つは私がした事が撮られているSDカード。もう一つは私の命ともいえるもう一枚のカードだ。






 人魚泡海は決意する。





 こうなったらなりふりは構っていられない。



 今すぐ彼の元へいかなくては。



 星月乙姫のもとへ。








「人魚泡海、ただ今より決死の覚悟で任務に当たらせて頂きます!」



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