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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆不幸が終わる話
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第四十六話:人魚泡海の場合・1


「君が潜入先で如何わしい行為に走っているという情報があるのだが説明を求めても良いかね?」


 人魚泡海は焦っていた。



 組織の末端組員でありながらその素養を買われ、倶理夢学園に潜伏する事になってから自分はとにかく上手くやってきた筈だ、と。



「な、なんの事か解りかねます」



 我ながら言い訳にすらなっていないなと泡海は気付いているが、他にどうにもいいようがないのだ。



「君ね、学園内に潜伏しているのが君だけだとでも思っているのかね。確かな情報だよ。これを見たまえ」



 泡海は息を呑む。



 目の前で豪華な椅子に座って葉巻を吹かしている男はこの組織の支部長にあたる人である。



 その支部長が手元のノートPCにSDカードを差込み、ディスプレイに数枚の画像がが表示された。



 泡海は恐る恐るその画像に目をやると、そこには泡海がロッカールームに小型カメラを仕掛ける様子が写った物や女子高生の後を付回しているところなどなど…。



 自分に気付かれずにここまで決定的な写真をとれる人間がいた事に驚きつつ、泡海はこの状況を打破する方法を模索する。



 …無い。



「何もこれを辞めなさいと言ってるわけじゃないんだ」



 支部長は青くなったままの泡海に優しく声をかける。



「…では、いったい何故私が呼ばれたんですか?」



 いろいろ考えてみたが泡海には心当たりがなかった。



「君が学園に潜入している理由について正しく理解してもらう時が来た」



 泡海は驚いた。今までは潜伏する事自体が目的で、何をするでもなくただ学園内で変わった事が起きたらすぐに報告を、と言われていただけなのだ。



「君は悪魔の存在を信じるかね」



「悪魔…ですか?それは…一般的に言う酷い奴という意味でしょうか?」



「いや、読んで字のごとく。悪魔だよ」



 何を言われているのか理解できず泡海は困惑する。神だの悪魔だの、そういう話なのだろうか。



「理解したかね?その悪魔だよ。実はこの界隈で悪魔が召喚された可能性がある」



「何を言っているのか解りません」



「まぁ君が信じるかどうかはどうでもいい。とにかく今悪魔と契約している可能性のある人間をピックアップしている。君にはその監視と接触をお願いしたい」



 泡海は悪魔の話をどうにも信じる事が出来なかった。だが、命令とあらば動かなくてはなるまい。それに…弱みも握られている。



「ちょうど君のいる学園に通う学生が候補に上がっているのでね、それを君に任せたい」



「候補者全員ではなく、ですか?」



「君には言ってなかったかもしれないが全国の全ての学校に二人から三人ほど潜伏させているのだよ。学生は各学校で対応可能だ。それに、勿論学生意外にもあらゆる場所に我が同胞達は潜んでいる。その地区毎の支部から派遣されているからね。例えどこに候補者が現れようと我々の監視からは逃げられないのだ」



 泡海は自分が所属している組織が思いのほか大きい事に今更気付かされる。



 どちらにせよたった一人を監視すればいいだけであれば簡単な話だ。

 








「報告書は読ませてもらった。つまり、何故か相手の方から君の身辺を探るような真似をしてきた、と。怪しいな」



「はい。まだ理由はわかりません。明日接触を試みる予定です」



 泡海のロッカーを漁っていったのは星月乙姫という一年生。



 泡海はおそらくこの男は組織の存在には気付いていないのではと考えていた。



 なぜならば、命よりも大事なデータが入っているカードを盗まれているからだ。



 健全、いや、下劣な男子生徒ならば喉から手が出るほどほしがる代物であろう。



 許してはおけない。



 組織には悪いが場合によっては独断で処分する事も視野に入れていた。



「接触か…いいだろう。しかし事は慎重に頼むよ。そして、もし悪魔の存在を確認したならば直ちにこちらに報告するように」



 悪魔悪魔と何を馬鹿な事を。



 正直泡海にはどうでもいい事だったが、自分の大事な物を盗んだ男を野放しには出来ないので最低限の仕事だけはしてやるつもりでいた。



 大事なデータを取り戻し、場合によっては…



 大いなる覚悟を持って泡海は星月乙姫との対峙に望んだ。


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