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悪魔でも腹は減る(β)  作者: monaka
◆調子に乗って人生を棒に振る話
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第二話:シラユキ。


 しかしハニーにそんな能力があったのか…大のオカルト好きがオカルトに触れられない体質とは哀れだ。俺とかわってほしい。




「んでこれはどうやったら外れて、どうやったらお帰り願えるんですかねー。」




 悪魔だか何だか知らないがこんなものに取り憑かれていてはおちおち恋愛も出来ない。




「無理じゃ。」




 …今なんと?




「外すことは出来ん。わらわが望まぬ限りな」




 コンゴトモヨロシク♪と笑顔で言い放つ悪魔。顔は可愛いがとにかく布の面積が小さい。まさかこれと一生一緒に居なきゃならんのではないだろうな。




 俺はすぐさま窓を開け放ち、大声で隣人を呼んだ。




「マイハニー今すぐ俺の部屋へ来い!」




 …されど反応が無い。マジに文句の一つも言わなきゃ納得できん!




「なんじゃいきなり大声を出しおって…さてはあやつに祓わせるつもりじゃな?言っておくが力の使い方もわからんようじゃわらわを祓う事など…」




 そんな事はどうでもいい。




「お隣にお住いの舞華権座衛門さーん!早く来ないと…」




 がちゃり。




 言い終わる前に俺の部屋のドアが開いた。向かいの家から出る音もうちのドアを開ける音も聞こえなかったんですがそれは…




「乙姫ちゃん…殴られる覚悟はできてるんだよね…?」




 可愛らしい顔が台無しの鬼をも殺す形相で俺に今生の別れを迫ってくる。




「ちょっと待て!そんな事より」




「世の中にはそんな事、じゃすまないこともあるんだよ…?」




 こわいこわいこわいこわいでも勇気をふり絞って叫ぶ。




「お前の腕輪のせいで痴女が見えるようになった!責任を取れ!」




 ハニーも、悪魔でさえ言葉を失う。




「まて、言葉がたりなかった、実は…」




「ごめんおとちゃん、そんな精神汚染能力がある腕輪だなんて知らなかったんだ…万が一の時はちゃんと責任を取ってボクが面倒見てあげるんだよ…」




 ハニーはがっくりと肩を落としながら言った。怒りはおさまったようだがとてつもなく可哀そうな奴と思われている!




「だからちがうんだって…」




「これが漫才というやつなのか…?」




「うるせぇお前はちょっと黙ってろ!」




 横槍を挟んできた悪魔に叫ぶ俺をさらに可哀そうな目で見てくるハニー。おれは泣きながら消え入りそうな声で説明するのだった。






「…ふんふん、なるほどー。じゃあその腕輪で悪魔が呼ばれておとちゃんに取り憑ついたって事なんだね?どこ笑えばいいのかわからなかったんだよ…」




「おぉマイハニー…お前は俺を信じてくれないのか…」




 泣き崩れる俺の肩に手を置き、ごめんごめんとハニーが笑う。




「さっきの仕返しなんだよ。…で、その悪魔さんは今もいるの?」




 さすがマイハニー心の友よ!




「あぁ、いまもここに浮いてるよ。完全に痴女だ」




「痴女とは失礼じゃな。童貞のお前には少し刺激が強すぎたかのう?ふふっ」




「童貞ちゃうわ!」




「え、おとちゃんボクというものがありながら…」




「そういう冗談はこの状況を解決してから言ってくれ!」




 だめだ、ネジが外れた友人と悪魔のコンビネーションは予想以上に俺の頭を蝕む。




「まあ冗談はこのくらいにして、その悪魔さんは結局何が目的なのかな?もし本当に宿主として生きていかないといけないなら相手の目的と一緒にいるメリットデメリットを聞いておくべきだと思うんだよ」




 一緒に生きていく気も諦める気もないが確かにそうだ。




「今の話聞いてたよな?そこんところ詳しく教えてくれよ痴女」




「痴女呼ばわりする小僧には教えてやらん。…じゃが名前を考えてくれたら教えてやってもよいぞ?」




 名前を考える?




「お前には名前がないのか?」




「悪魔はこの世界に降臨した際は現象が実体化した物として存在する事ができる。現象には名前が必要じゃ。大昔の宿主にはサキュバスと呼ばれた事があったが今は名無しじゃ」




 よくわからん。




「なにやら悪魔に名前をつけてやらなきゃならないらしいんだがハニーはなにか思いつかないか?」




 ハニーは少し悩んだ後、ハッと何かに気づいたような顔をして、これは宿主が考えなきゃいけないことだと思うなーと棒読みで言うのだった。




 何かろくでもない事を思いついた時の顔をしてやがる…。




「うーん、じゃあ適当でいいか、雪女」




「却下じゃ」




 肌も白いし雪女でいいと思ったのに…残念。




「和風にせよもっとなにかこう、いい響きのはないのかえ?」




「うーん、白雪、とかは?」




「シラユキ…うむ、いい名じゃな。ではわらわの名は白雪。それでいいかの?」




「へいへい。よござんすよー。なんでもいいからさっきの目的とかいろいろおしえてくれよ」




 白雪は少しの間目を閉じて、小声で「我が名は白雪。この世界に降臨し契約を交わしたものなり」と呟いた。




「あ、はじめまして。あなたがボクに呼び出された悪魔さん?」




 突然ハニーにも見えるようになったらしい。名前がついた事によってただの現象だった存在が実体化した…って事か?なるほどわからん。




「しかしお主意外と協力的じゃのう?褒めてつかわす」




「ううん、だってボクも悪魔ちゃんと見てみたかったしお礼はいいんだよ」




 ちょっとまて、何の話だ?




「不思議そうな顔をするでない。実はわらわが召喚されてもこの現世に留まれる時間は限られておっての。きちんと宿主と契約を交わさねばならなかったのじゃ」




 契約?いつ、誰がした?




「先ほどお主が自分で考えて名をつけてくれたじゃろう?それ自体が契約じゃよ」




「なんだって…じゃあさっきのは…」




 俺は無言でハニーを睨みつける。




「だっておとちゃんだけ悪魔見れてうらやましかったんだもん♪」




「だもんじゃねーよどーすんだよ!」




 俺の人生のレールは今日何度となく曲がり、もはやどこへ向かっているのかわからない。おおむねマイハニーのせいである。こいつにも全面的に協力させて元のまっすぐな道へと帰らなくては…。




 それまで俺の体と精神がもつのだろうか。



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