第19話 結ばれしもの その4
「……。色々あったけど、これで堂々と三人一緒に家族として暮らせるわけね……」
「ああ。お前もヒトミも、絶対に俺が守ってみせる!」
「お互い様よ。絶対に生き延びて、皆で幸せになりましょう」
改めて二人は口づけを交わす。今度はストレートだが、強く、長く。
「ねえソウタ、折角伯父さまに開いてもらってるから、早速使っていい?」
「ああ、わかった。片付いていないのは分かってると思うけど」
宴の前。リュウジは、エリの私室に向かっていた。
「エリちゃん、君の部屋に隠し部屋はあるのかな?」
「はい。王宮ですから」
エリが案内したのは、以前ヒトミが隠れていた場所だった。
「わかった。条件は整っているから、こことソウタの家を繋ぐ。もし本当に危なくなったり、日本に戻りたくなった時は、ここを使いなさい」
『はい!ありがとうございます!』
こうしてエリの寝室はソウタの自宅、玄関の大鏡と繋がれたのだった。
エリはソウタとソウタの自宅に。エリはソウタと本懐を果たす場所に、ソウタの自室を選んだのだ。
「どうしてここが良かったんだ?」
「気分の問題よ」
エリはカ・ナンに来てから度々、もしも日本に残って暮らしていたらという事を夢で見ていたという。
「私が夢で見ていた最初の相手はアンタで、場所はここ。シチュエーションはデートの後のお泊りだったのよ……」
「それは光栄だ」
ソウタのベッドの上で口付けを交わす。
「本当に夢が叶うなんて……」
そのまま、幼い頃さえ見せなかった表情で泣き崩れるエリ。ソウタはしばらくエリを撫でながら落ち着くのを待った。
「それじゃあ……、私は初めてだから、優しくリードして頂戴」
「ああ。任せろ」
「うん。ソウタ……。大好き。大大大大好き……」
翌朝、朝日が昇る頃にソウタはエリの寝室を出た。
一度帰って身支度して、それから再度出仕しようとしていたのだが、部屋を出ると、すぐにヒトミに出くわした。
「ヒトミ?!帰ってたんじゃ?!」
ヒトミはソウタの胸に飛び込むと、力いっぱいにその腕の中の匂いを吸い込み肺を満たした。
「ソウタくんから、エリちゃんの匂いがいっぱいする……。ちゃんと今朝まで愛してあげたんだね」
「ああ……」
ソウタが目を覚ましたのは、空が白みかけてきた頃。
「お前、ずっと待っていたのか?」
「隣の部屋で寝て待ってたよ。さびしくなっちゃったから……」
ヒトミの身体が震えていた。
「どうしよう。私、嫉妬しちゃってる……」
「ヒトミ……」
ソウタの胸元から離れてヒトミは告げた。
「私、ソウタくんにも嫉妬してるんだよ!だってソウタくん、その身体を使ってエリちゃんをいっぱい抱いていっぱい愛してあげたんだもん!」
「ヒトミ、お前……」
「私もエリちゃんのこと大好きなんだもん。とってもとっても大好きなんだよ……」
ヒトミがカ・ナンに残って命懸けで戦っていたのは、幼馴染のエリへの友情を超えた、愛だという事は、ソウタも薄々分かっていた。
「わかっている。俺たちは三人一緒だから……」
ソウタはヒトミからの愛と嫉妬を一身に受け止めていた。
「大丈夫だ。今夜は三人一緒で、先にヒトミがエリを愛してあげればいい」
「いいのソウタくん?!」
「あんまりエリを泣かせるなよ。アイツ、あんまり強くないみたいだからさ」
こうしてこの日から、ソウタは二日に一度はヒトミと共にエリの下で一夜を明かすようになった。




