第13話 赤銅の都 その4
メリーベルはソウタの脇を両手で抱えると、ひょいと持ち上げて後ろのベッドに投げ込んだ。驚くべき腕力である。
「!!」
酒で頭が回らないふいをつかれて身動きできないソウタ。続けてメリーベルもソウタの胸元に飛び込んできた。
「あっ?!おっ!?」
ソウタが下を見るとメリーベルの燃えるように赤い髪が一杯に広がっていた。メリーベルは胸元に顔を埋める様に潜り込ませながら、ソウタの上着のボタンを瞬く間に外していく。
「ああ……いい匂いだ。アタシが見込んだ通りの極上の……」
へその上から首元までの正中線沿いに生暖かく湿った柔らかい感覚が伝う。彼女の舌が毛筆の筆先のように伝ったのだ。
「いい味だよ。見込んだ通りに……」
今度は視界一杯に、上気したメリーベルの顔が、瞳が。さらに彼女のやわらかで豊満な胸の感触が広がる。
「おぃ……。ちょっと……」
「さぁて、ここはどうなって……」
彼女の右手がズボン越しに股間に被さる。そこまで布地は分厚くないので、その下がどうなっているかは、触ればすぐにわかるだろう。
「ふふふ……。ちゃんとここは立派に反応してるじゃないかい」
メリーベルは上着を脱ぎ捨てると上は下着一枚に。伸び縮みしやすい布で巻いているが、上下のかなりの面積は隠しきれていない。窓からの月明りに照らされると、興奮して上気しているようだった。
「言っておくけど、アタシはこの身体を安売りしたことはないからねぇ……」
再びソウタの胸に顔を埋めながらメリーベルは語りだす。彼女は元々黒エルフの末裔を自称する船主の一人娘だったという。
ある時、悪名高い海賊団に襲撃されて船主だった父親は殺され、自らも奴隷として売り飛ばされようとしたところ、対立していた他の海賊が襲撃してきて助けられたという。
「その時アタシを救ってくれた若い頭目は、どっかの貴族崩れの若様でねぇ。そりゃあいい男だったんだよ。で、アタシはそいつに惚れちまって、女房になってやろうって決心して海賊になったんだけど、その若様は一年経ったら流行病であっけなく死んでしまったのさ……」
その若頭が残した海賊の1/3ほどを受け継いで彼女が立ち上げたのが「赤いスペード団」だったのだ。
「んで、赤いスペード団で生きていくことにしたところで」
「ロイドさん、に出会ったって」
「そうだよ……」
すでに話を聞かされていた博物学者のロイドと出会い、彼と将来を誓い合ったところで、ゴ・ズマに襲撃されてロイドは命を落としたのだった。
「アタシが今まで身体を許してきたのは、この二人だけなのさ。他の奴らにゃあ部下だって許しちゃいないし、襲ってきた奴らは全員タマをグチャッと潰してやったんだよ。蹴り飛ばしたり握りつぶしたりしてねぇ」
「……」
寒気が走って息を呑むソウタ。
「自分で言うのもなんだけど、アタシは上等な身体してるからねぇ。だからこの身体は簡単には許したりしないよ。位が高いってだけの中身が安い男にだって許しはしないさ」
「……。で、これは……?」
メリーベルは無邪気に、まるで年端のいかぬ少女のような純真な笑顔を浮かべた。
「閣下は合格ってことさ。アタシもここんとこご無沙汰だったから疼いて仕方がなくってね……」
メリーベルは自分のズボンのボタンを外し脱ぎ捨てると下着を露わに。
「なぁに、閣下に本命が居たって別にいいのさ。男は将来、誰を抱くにしても経験が多い方がいいに決まってるからね。閣下はこの分だと、まだ女を知らなそうだから、アタシが教えてあげようっていうわけだよ……」
ソウタの鼓動が早鐘のように鳴りだす。メリーベルの指が這うようにソウタの胸から腹を伝い、ズボンの、下着の中に侵入してくる。すると身体は男として敏感に反応したが、思考の方は酒が回っていたのもあってほとんど機能しなくなっていた。
「それじゃあ閣下の、男の御印、御開帳……」
彼女がソウタのズボンと下着を下ろそうとしたその時だった。重く激しい金属音が響き、ドアが揺れる。そして直後にドアが蹴破られて、部屋の内側に倒れこんできた。
『!!』
「見つけたぞ、てめえらぁ!!」
何者かが突如として襲撃してきたのだ。




