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第22話 大帝親征 その2

 カ・ナンがゴ・ズマの先鋒を完膚なきまでに撃退したとの報は、瞬く間に各地に広まった。


「やはりカ・ナンからの連絡は間違いなかったか」


「やはりトウザさまたちが負けるはずはありません。何せあれほど丹念に準備を整えてきたのですから!」


 アンジュは身の安全の確保の為に屋敷から外出する事はできなかったが、アンジュらが持ち込んだ無線機によって、即座にカ・ナンの戦況がもたらされていた。そしてその情報を基に取引を行い、短期間で莫大な利益を上げていた。


「この勝利も、バンドウ家からの資金援助あればこそです」


 ガネ商会のビルスはリオウとアンジュに頭を深々と下げた。ビルスと娘のシーナは、アンジュが脱出する前にソウタの命令でクブルに赴き、諜報と将来を見据えた金策などの活動を行っていたのだ。


「次は大帝が直々に赴くと言われていますが、我が国の防御は正しく鉄壁。易々とは破られますまい」


「そう願いたいものです……」


 リオウはカ・ナンの現在の軍装や防衛線の写真を見せられており、兵装の異質さと防衛線の強固さをしっかりと認識していた。

 そのため各国での風評と異なり、カ・ナンが善戦する事は確信していた。


 カ・ナン勝利の報が各地に伝わると、各国の動向が変化していった。荒らされる前に投降しようという穏便派が急速に力を失い、徹底抗戦すべしとの急進派が力を持ち出したのだ。


 それに呼応して、それまで順調だった他の二つの方面も急に激しい抵抗を受けるようになり、征服地も次々ゲリラによる襲撃が相次ぐようになっていった。


 そのため、クブルからは各国への武器食料の輸出が急増し、資金融資を求める使節も来訪する見込みという。


「クブルはあくまで商業にのみ専念し、ゴ・ズマが迫れば無血開城する予定です。その際には事前の協定通り、ガネ商会にはこちらで用意した船で脱出して頂き、万一我々にも火の粉が降りかかるようであれば、我々も船団を引き連れて脱出する所存ですが……」


「異存はありません。我々は女王陛下や宰相閣下たちを脱出させる事さえ叶えば良いのですから」


「安心されよ。タツノ宰相らの脱出は、私共にとっても違える事はできぬ約束」


 リオウにとってもカ・ナンの幹部たちの存在は大きかった。特にソウタは計り知れぬほど有益な知識を持ち、かつゲンブ大帝の甥でもある。

 そのため、もしカ・ナンが敗れ、彼らが脱出してきた場合、その身柄を確保する為の準備を密かに進めていたのだ。


(易々と彼らが敗れるとは思えんが、用意はしておかねばな)


 クブルには自衛の為の最低限の軍備しか備わっていないので、バンドウ家ではゴ・ズマに抵抗する事は不可能である。だが十数名程度の身柄を厳重な包囲下から脱出させて、迎え入れる事は可能だった。


 リオウはアンジュらには当然伏しているが、超人的な能力を持つという暗殺集団と契約しており、万一カ・ナンから脱出する際は彼らに道中の保護を依頼していた。特にソウタとエリとヒトミの三人は万難を廃して身柄を確保するよう念押ししていたのだ。

 

(大帝に彼らを害する意思がなければ高く売り渡せば良し。害するつもりなら、匿った罪を我らも問われよう。その際は共に逃れるまで……)


 リオウは大海を渡ったいくつかの諸島の開発にも出資しており、いざという際の亡命先を確保していた。


「今はただ、カ・ナンには上手くこの危機を乗り切って頂くのを願うばかりです……」


 リオウの言葉に偽りは一切無かった。万一の備えは使われぬ事に越した事はないからだ。

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