表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔法はJavaScriptで起動する  作者: あきらメル
第2章 入門編
17/30

入門編『イベント処理』

「マスター登録の術式の説明に戻る前に、これを見て欲しい」


<SCRIPT>

document.onmousedown=function(){alert("押した!");}

</SCRIPT>


魔導書は入力画面に術式を書き、説明をする。


「『onmousedown』はdocumentオブジェクトの『イベント処理(ハンドラー)』の一つで、ページに手が触れた瞬間、指定された関数が実行される」


エイダがページに触れると、画面に『押した!』が表示される。


「実行されるのは、functionの『{}』で囲んだ『alert("押した!");』と言う事?」


「そう、その通り」


「けど、以前習った関数の書き方と違うよ?」


エイダは習った書き方を入力していく。


<SCRIPT>

function pressed(){

 alert("押した!");

}

</SCRIPT>


エイダのもっともな疑問に、魔導書は答える。


「以前習ったのが、関数名と一緒に定義する方法。今回のは関数名を定義しない方法で『無名関数むめいかんすう』と呼ばれる」


「何で関数名を定義しないの? 名前が無いと実行できないよ?」


「確かに従来のように関数名()で実行する事が出来ないが、プロパティ名()や変数名()で実行できる」


魔導書は変数名での実行を実演する。


<SCRIPT>

var ada=function(){alert("押した!");}

ada();//実行

</SCRIPT>


魔導書がページをロードすると画面に『押した!』が表示された。しかしエイダは困惑した顔のままだ。


「やっぱり、無名関数むめいかんすうにする意味がわからない」


「名前を重複させない為かな? 例えば私がpressed関数を書いたとしよう。不運にもエイダが同じ名前で関数を書いた場合、どっちが実行されると思う?」


<SCRIPT>

function pressed(){alert("pressed!");}//魔導書作

function pressed(){alert("押した!");}//エイダ作

pressed();//どっち?

</SCRIPT>


魔導書の問いかけに、自信を持ってエイダは答える。


「『どっち?』って限定して聞いてきてるから、両方とも実行される。魔導書さんの質問の仕方が怪し過ぎる」


エイダの答えに、魔導書の方が困惑する。


「エイダ、深読みし過ぎ。これは普通に『どっち?』と聞いている」


意地悪な質問をし過ぎたかなと、ほんの少し反省しながら魔導書は訂正する。エイダは少し考え、再び答える。


「魔導書さんのじゃなくて、私のかな?術式は上から下に実行されるから、私の関数が最後に登録されると思う」


「その通り。私の関数は上書きされ、エイダの関数が残る」


画面に『押した!』が表示された文字を見ながら、エイダは疑問を口にする。


「う〜ん、なんかモヤモヤする」


「『名前の重複を心配しないで手軽に関数を作れるので後々重宝する』で納得してもらえないかな?」


「うん、わかった」


エイダはあまり納得していないが先に進む為、提案を飲んだ。


「さてと、マスター登録の術式の説明に入ろう」


<SCRIPT>

document.onmousedown=function(event){master=event.user;}

</SCRIPT>


魔導書が説明を続ける。


「これは魔導書のページを触った瞬間、定義された無名関数むめいかんすうが実行される。この場合event.userの値がmaster変数へ代入される」


「eventはどこから来たの?」


エイダが尋ねる。


「これはイベントが起こされた時に、自動で送られてくる引数。色々と便利な情報が入っていて、例えばユーザーがどこを触ったかが『event.x』と『event.y』のプロパティで参照できる」


<SCRIPT>

document.onmousedown=function(event){alert(event.x+","+event.y);}

</SCRIPT>


エイダが左上を触ると小さい数が、右下を触ると大きい数が表示された。エイダは面白いのか、色々な箇所に触れる。そんなエイダをしりめに、魔導書は説明を続ける。


「そして従来のjavascriptにはなかったのだが、『誰が触ったか』の情報までevent.userのプロパティで参照できるようになっていた」


エイダは手を止め、魔導書に聞き返す。


「従来のjavascript?」


「そう。私が慣れ親しんだjavascriptには、そんな機能はなかった。画面を触れた個人の情報が簡単に取得できたら、プライバシーどころじゃなくなる」


「プライバシーって?」


「人間隠しておきたい事もある。『いつ』『 どこで』『 誰が』『 何を』『 なぜ』『 どうやって』を他人に少しでも知られると嫌がる人もいるって事」


「ふ〜ん、そうなんだ」


エイダはあまり興味なさそうに返事する。


「何にせよ、event.userプロパティに入っているエイダの情報を、masterの変数に代入して登録したって事」


エイダは術式を見ながら呟くように質問する。


「『master』と『document』って変数だよね?」


「あぁ。どちらとも変数だ」


エイダは、今まで不思議に思っていたことを魔導書に尋ねる。


「何でどちらの変数も『var』で宣言されてないの?」


「あぁ、それは『グローバル変数』だからだ」


魔導書は簡潔に答える。


「うん。また新しい単語が出てきた」


エイダは『何で質問してしちゃったんだろう?』と、諦め気味に呟いた。

ーーーーーーーー ログ ーーーーーーーーーー

エイダは『イベント処理しょり』を理解した。

エイダは『イベントの引数ひきすう』を理解した。

エイダは『mousedown』イベントを覚えた。

『イベント処理しょり』スキルがLV1になった。

エイダは『無名関数むめいかんすう』を理解した。

関数かんすう』スキルがLV4になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


登場人物


エイダ・ラブレス

挿絵(By みてみん)

冒険者に憧れている9歳の普通の女の子。

覚える事が沢山あって困っている。


職業:術者プログラマ LV1

称号:初心者

スキル:『関数かんすう LV4 up』『構文こうぶん LV1』『文字列もじれつ LV1』『コメント LV1』『算術さんじゅつ演算子えんざんし LV1』『文字列もじれつ演算子えんざんし LV2』『変数へんすう LV2 up』『代入だいにゅう演算子えんざんし LV1』『オブジェクト指向しこう LV1』『イベント処理しょり lv1 new』

関数:『alert()』

HTMLタグ:『<script>』

イベント:『mousedown new』


喋る魔導書

挿絵(By みてみん)

エイダが森の奥で出会った喋る魔導書。

教えたい事が沢山あって困っている。



作者より


エイダが少しずつjavascriptを理解し始めてきてるので、最初に比べて会話がだいぶ楽になりました。

何も知らない状態からのスタートですので、一つ一つ説明するのは辛いですね。

『コンピュータ』と言っても、エイダの世界にはありませんので『魔導書』とか言ってごまかしています。

ただ9歳にしてはエイダは理路整然過ぎる気もしないでもない。まぁそれだけエイダ母が凄かったと言う事で。

間違った説明をしていないか、Googleで調べてから書くようにしています。

時間がかかり大変ですが、知らなかった事も多く、自分の知識も向上するので楽しいです。


エイダのスキルが順調に増えていってるので、後書きの方が本文より多くなってしまうんじゃないかといらぬ心配をしています。


参考にしたページ


無名関数と即時関数?

http://unitopi.com/js-function/


JS イベントまとめ

https://qiita.com/hththt/items/aefbcc6eb191588dadff


jsfiddle


押した!

https://jsfiddle.net/AkiraMeru/z8e62nuh/


変数名で実行

https://jsfiddle.net/AkiraMeru/z8e62nuh/1/


どっち?

https://jsfiddle.net/AkiraMeru/z8e62nuh/2/


クリック位置表示

https://jsfiddle.net/AkiraMeru/z8e62nuh/3/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ