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ワールド・セネカ  作者: FRIDAY
壱 物語は校門からやって来る
9/51

To Be Continued…

「――ふーん」


 戦場跡。未だ結界が解かれていないために惨憺さんたんたる有り様になっているそこを、見下ろす者の姿があった。


「成程ね。あれがホムンクルス七式。――あれが、その契約者」

 艶やかな唇が動き、独白を形作る。


 少女だ。

 爆心地からそう遠くないところに残ったマンションの屋上から、全体を一望している。


 既に戦闘は収束しており、七式やその契約者、そして人形師の姿はなく、対峙していた面々も動けるものから離脱している。結界を維持する力も既に供給されておらず、残存魔力が自然消滅するのを待つばかりだ。

 そんな中で、少女は口端を歪める。


真柴ましば鈴沙れいさ……あの女までいたというのは予想外だったけれど、都合がいいわ。ねえ、トルク」

 腰裏こしうらまである黒髪を軽く払いながら、少女は背後へ視線を流す。

 そこに黙然と立っていたのは、人によく似た姿でありながら、しかし決定的に異なる者だった。


 畳まれていてもなお巨大な白翼。

 それは言ってみれば、先程まで戦闘を行っていた男、その従えていた天使にも似ているが――わずかに違う。


 存在感が、比ではない。


 沈黙を答えとして受け取りながら、少女はまた戦場跡を見下ろした。

 その瞳に垣間見えるのは、怒気と憎悪。


「全部まとめて始末しちゃおう。世界を手に入れようだなんて……許さない」


 結界が消えていく。

 何事もなかったかのように薄れていき、日常世界と合一していく。

 だがそのときにはもう既に、少女と従者の姿はどこにもなかった。


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