遥香#2
4人の帰り道。
駿たちと帰るのも久しぶりだし
やっぱり、誰かと一緒っていいな。
でも、ちょっとショックだったよ。
夜影さんにまで間違えられちゃった……
もいっこショックなのは
夜影さんすごく綺麗で
何となく退屈そうって言うか
話しかけたときも、すぐに答えてくれないし
とりあえず打ち解けようと思って
いっぱい話したのが悪かったのかな…
3人で帰るときは賑やかでうるさいけど
3人だけで盛り上がっちゃったら
夜影さんを仲間外れにしてるみたいだし…
すっごい雰囲気が微妙だぁ。
男子2人は黙りこくってるし……
もう、いくじなし!
「ねぇ、夜影さ……」
「…………綺麗……」
ダメもとで話しかけようとしたら
夜影さんが小さく呟いた。
ふぇ?綺麗?何が?
「何が綺麗なの?」
そう聞くと、またちょっと間があって
夕焼け、っていう
か細い息みたいな声が聞こえた。
夕焼け?
確かに綺麗だった。
春の夕焼けって独特な雰囲気。
秋の夕焼けもいいけど
春は、なんていうのかな、しっかりしてる。
空気はほわほわしてるのに
そこだけぴしってしてる感じ。
でも、天宮じゃいつもの風景なのに。
自然が豊富で
景色がいいってのは珍しいことなのかなぁ?
「夜影…さんは夕焼け初めて見るのか?」
駿が馬鹿なことを聞いてる。
それに、さん、ってつけるか迷ってるし。
あぁもう、かっこ悪いなぁ。
夕焼けを見たことないわけないでしょーが!
「駿…この夕焼けが綺麗だって
言ってるだけで、初めてなわけないだろ…」
「わ、分かってるよ!んなこと!」
冬騎が突っ込んでくれた。
ほんっと駿ってばかだ。
「確かに、きれーい!
でも、駿じゃないけど、珍しくはないよ?
ここでは、いつもこんな感じだし」
「…私がいたとこは
夕焼けに気づけないとこだったから」
よくわかんないこと返されてしまった。
でもまぁ、本当に綺麗。
明日も晴れかな。嬉しいな。
4人で立ち止まって夕焼けを見てると
これからはうまくやってけそうな気がした。