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第3話 出撃

 出撃は標準時間の21時15分。宇宙軍では”夜”の9時に相当するが、もちろん艦内に昼夜はなく、照明が切り替わったりもしない。

 重駆逐艦Z3411の側面に大きく開いた格納庫出口から、ハワード大尉とフェルギエのエミリーが搭乗した複座の中隊長機を先頭に、全長20mの人型兵器である”ファランクス”が次々と漆黒の宇宙空間に飛びだして行く。

 格納庫出口のすぐ脇に備えられた発着艦管制室に座る士官(LCO)が、小さな観測窓からファランクスを目視で確認し、操作板に手を走らせ、出撃位置に着いた順にファランクスを重力カタパルトに捉えていく。重力カタパルトに捕まったファランクスは、物凄い勢いで加速を開始した。重力カタパルトは目標の直前に巨大重力を発生させ、移動する仕組みだ。加速する、というよりも落っこちる、という方が捕まった当人の体感的には正しかった。

「Do you remember〜♪」

 第1小隊のサラが全員向けの通信回線で古い歌を口ずさむのはいつものことで、アリカも特に咎めたりはしなかった。サラの歌に乗って中隊は次々とアラネアの巣である小惑星に向かって”放り投げられ”て接近していった。


 小隊順に飛び出た第4小隊の最後のファランクスがカタパルトで打ち出されてから数秒後、大型ミサイルがZ3411の側面発射管から放たれ、青白い炎と白い煙を残して中隊を次々と追い越していった。数十発のミサイルは巨大な小惑星である”巣”の複数あるはずの開口部に正確に着弾し、大きな突入口を開けた。

 

 殿しんがりを務めるカトー少尉と、中隊長のハワード大尉以外は、全てフェルギエ単独で搭乗しているファランクスだけだった。その中の一人、第3小隊のエリーゼは巨大な重力子爆弾を抱えるレティシアとアデレイドの少し後方に位置する。ライフルにはカルフォルニウム弾が装填されている。戦闘準備は万全とはいえ、彼女にとっての3回目の実戦。緊張感で喉が渇き、コクピットのボトルから水を飲む。


 艦を飛び出してから10分ほど経過すると、ハワード大尉のファランクスが一番手前の開口部付近に逆噴射用スラスターを全開にしながら着陸した。スラスターを投棄したハワード大尉機がミサイルの開けた破口に向けてライフルを向け警戒する中、第1と第2小隊のファランクスは次々と巣の中の洞窟へと滑り込んでいった。

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