事件はそこから始まった
それは10年近く前のこと、とある男性歌手さんのバックでギターを弾いていた時のことです
プロの歌手さんで、ファンもけっこういらっしゃるのですね
この日のステージは、この歌手さんのギター弾き語りとサポートギターとしての私とのデュオで構成されていました
この歌手さんは若い頃にバンドでとあるコンクールでグランプリを獲得されて、バンドデビューの予定でしたが、バンドの運営がうまくいかずに、デビュー前に解散して、ボーカルのこの方のみのソロデビューとなったのですね
その後、根気よく、地方をあちらこちら周り、大きなホールから、小さなカラオケスナックなどで精力的に活動されて、ファンを獲得されていったのです
私には知り合いのキーボード弾きでプロシンガーソングライターの音楽野郎からの口利きによりオファーをいただきました
この歌手さんのギターの指導もさせていただき、その時に一緒にリハをしながら、数年間一緒に仕事をさせていただきました
さて、話を最初のステージに戻します
この日の私はアコースティックギターで、バックミュージシャンと言う立場なので、座って演奏していました
この歌手さんは立ってステージを動き回ったり、ワイヤレスマイクで客席の方まで行ったりと抜かりないファンサービスをされておられました
若い頃にデビューされていますが、キャリアは長いのでそこそこの年齢です(笑)
まぁ、私の3つ下でしたが・・・これは余計か・・・
と言うことで、ファンの方もそこそこのご年齢の方ばかりです
そこそこのご年齢で歌手の追っかけされておられるのですから、そこそこ生活にも余裕を持たれておられる方が多いのです
ディナーショーでも団体で来られますしねぇ・・・
すると、皆様もご存じだとは思いますが「おひねり」といいますか、心づけをくださるのですね
歌手さんが客席を廻ると、流石に一万円札の数珠繋ぎネックレスはありませんでしたが、割っていない割りばしにお札を挟んで、歌手さんの衣装の胸ポケットに我も我もと挿しこんで行かれるわけです
圧巻ですよ
すごいなぁ・・・と毎回思っていたのですけどね(笑)
私はバックミュージシャンですから、そういうことには縁がなかったわけです
ところがですね、この日はデュオということなので2人きりでステージを務めているわけですね
お客様からすれば、私は歌手さんの相棒と言うことでかなり親近感をお持ちいただけたようなのです
それで、あるお客様が酔った勢いでステージまで上がってこられて、割りばしに挟んだ二つに折り曲げた五千円札を座って演奏している私の左の胸ポケットに挿しこんでくださったのです
ギターを弾いているので私は両手が使えない状況ですよね?
私はニコッと笑顔で会釈させていただきました
ところが事件はここから始まりました
座って演奏している私の左胸に挿しこまれた割りばしに挟まれた二つ折りの五千円札なのですが・・・旗のように突っ立って・・・ちょうどギターのネック部分(左手で弦を押さえている方)を見るのに視界が妨げられて邪魔になって見えにくくなったのです
あっちゃ~?これは困ったぞ・・・押さえる場所が見えないぞ・・・
しかし、曲の途中やし、ギターを弾いているので両手は使えない・・・
おいおい!
これほど「五千円札が邪魔だ!」と思ったことは人生後にも先にもこの時だけでした(笑)
嬉しいはずなんですけどね、まさかお金に仕事の邪魔をされるとは・・・
そして無事曲が終わったのはいいけれど、この五千円札はどこに置けばいいのだ?
変なところに置くといただいた方に失礼かもしれんしなぁ
これまたステージの上でまだ悩んでおりました
そんな楽しい?困った思い出でした・・・・
でも、勘違いなさらないでください!いつでも歓迎ですので・・・(笑)




