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美術館
私は美術館にいた。そして、一つの展示物が目に留まった。
それは黒くて歪な円環だった。展示名を見ると「悪夢の円環」とだけ書かれてた。
光沢を見るに黒曜石でできているのだろう。それを円形に加工してあるように思える。しかし、黒曜石は割れやすい素材である。ゆえに歪さがあるのだろう。
歪さを悪夢に例えるか。なかなかに面白いセンスをしている。しかも、それを円にしようとするとは。この作品を作った人にお目にかかりたいものだ。
もし私が、美術狂いの富豪ならば、喜んでスポンサーになりたいものだ。
しかし残念ながら、私にはそんな富は無い。スポンサーとして支援することはできない。ただ作られた物を鑑賞するだけなのだから。
しかし、そこからヒントを得ることはできる。私も創作者の一人なのだから。アマチュアだがね。
この「悪夢の円環」からどんな物語を紡ごうか。見ているとインスピレーションが湧いてくる。そうだ悪夢をテーマにした物語にしよう。連作短編として。円のように、最初と最後を繋ぎ合わせるのも、一つの手だな。
私はそう考えると、手帳に先ほど得た発想を書き込んだのである――。




