幻影
君たちは何故、彼の幻影を追い求めているのかね。幻影を追い求めても無意味だと言うのに。
君たちに残酷な事実を伝えなければならないようだね。安楽の贄を求める者たちよ。
彼が君たちの元から去ったのは、見切りを付けたのさ。君たちの元では未来が見えないがゆえに。
君たちにとっての未来は明るかっただろう。彼による安楽をただただ享受していれば良かったのだからね。
だがしかし、その時はすでに終わった。彼の不在によって、君たちの真の実力が明らかにされたのだからね。生贄によるドーピングが無ければ立つこともままならないことが、皮肉にも彼の不在によって証明されたのさ。
彼がいなくては立つこともままならない。彼がいたことで立つことができた。
月日を経るたびに彼の不在の影響というのは大きくなってきたのだろう。亀裂が広がるように。
そして、君たちは思い知らされた。彼が熟してきたものの大きさをね。
そして、荷を負いきれないままにされた。それが今の現状ではないかね。
彼が戻って立て直す。そんなものは幻想以前のもの。幻影に過ぎない。
皮肉にも、彼のことを知っている君たちは追い求めているのだろう。彼という幻影を。
いい加減気づいたまえ。君たちが彼に依存してきたという事実に。
君たちが行うべきなのは、彼という幻影を手放し、自立していくことだ。そうでなければ、君たちは腐敗していくのみ。もはや数年の月日が経ったのだ。いい加減認めたまえよ。有能依存症の患者たちよ。
君たちは気づいていないかもしれない。否定しても良い。だが、否定や否認こそ依存症であることの始まりなのだよ。これは他の依存症と同例にすぎないがね。
それでもなお、君たちは否定するのかね。では問おう。その否定の先に有るのは何かね。答えられなくても構わないのだよ。答えに窮する問いなのだから。
意地悪な問いだというのなら、早く自立することを勧めるよ。
職場内の分裂というのは、大変な事態を引き起こしやすい。意思疎通が断念されているのだから。一致しなければならないというに。不満を抱えている。
そんなに盲目の闇を愛したいものなのかね。穴に落ちてしまうだけだと言うのに。
理解し難いかね。なら、穴に落ちて助けの手を差し伸べられてごらんよ。その後、どう行動するかは、彼ら次第なのだからーー。




