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龍紋


翌朝

静かに目を開ける。

「おはよう。随分幸せそうな寝顔だったみたいだけど何かいい夢でもみたのかしら?」

リンの声でボヤけていた意識が晴れていく。

「おはよう。なんのことはない。ただただぐっすり寝させてもらったよ。」

「火の番。ありがとさんよ。」

「それはよかったわね。朝の準備も軽くだけどしておいたから食べたらここを発つわよ。」

「了解。」


それから朝食と出発準備を済ませ、ネオカブキへと向かうことになった。


歩きながら雑談を交え、昨晩の疑問を投げかける。

「ところで昨日は聞きそびれちまったんだが龍紋ってなんなんだ?」

「ハァ?アンタ、バカァ?龍紋って龍を象った紋。そのままの意味でしょ?そんなことも分からない訳?」

「龍を象った紋って、龍の刺青入れてんだからそりゃそうだろ。そもそもそんな珍しいもんじゃねぇだろ。紋だけに。ははは。」

「アンタ本当にバカなにのかしら。それともバカなのかしら?」

「なんだよ。バカバカって。特段、利口って訳じゃねぇけどさ!」

「呆れた。本当に知らないのか、分かっててわざと聞いてるのかわからないけど。このままじゃ、先に進めないから教えてあげるわ。」

本当に呆れた顔をしながらも、しっかり教えてくれる。可愛い奴だ。

「紋。それはこの世界に生きるものの背負う呪いであり祝福でもある。基本的には一番最初に殺した生物の紋が身体に刻まれる。例えばスライムならスライムの紋。私だったらドリアードの紋ね。」 

そういいながら上着をチラッと捲ると左胸についた木の精を簡略化させたようなタトゥーが目に入って来た。

「例えば私の紋の能力は樹木ならある程度の会話と操作が出来る程度ね。倒した生物の能力の解釈を拡張したものが一般的だわ。」

「何故なら紋は殺した生物の怨嗟が刻まれたもの。自分を殺した憎い相手を呪い殺すためにね。でもね、それってつまりその殺した生物の因子が刻まれたものでもある。つまり上手く引き出せれば自分の力にもなるってワケ。呪いであり加護であるそれが紋。貴方の背中にあるのは龍の形をしてるからそのまま龍紋ね。だから龍紋が刻まれてるって事は龍を倒したってことよね?」

「いや、うーん。いやぁ。」

「歯切れが悪いわね!まあ、いいわ。ここまでで何か質問は?」

「なら、例えばの話だけど殺せば殺しただけ紋が増えんのか?それこそ身体中びっしりと?」

「はぁ、そんな事も忘れてるのかしら。基本的には人生で最初に殺した生き物のだけよ。ニュートラルな身体には一番最初に刻まれた怨嗟が一番色濃く残穢として残る。でもだからと言って以降に殺されたものの怨嗟が無くなる訳でもない。なら、それが何処に行くかというと最初の呪いがその呪いを喰い力と化す。だから基本的には紋は一つだけね。勿論、特例はあるけどね。」

「へぇ、なるほどね。最初に手にした力がどんどん強くなるってことか。シンプルで分かりやすい。」

「貴方、本当に分かってるのかしら?龍紋があるって事は最低でも龍を殺してる。それもなんの力も持たないで状態で竜殺しをしたというその意味を!世界には数人龍紋持ちはいるけれどその誰もが1人で一国を脅かす。だからどの勢力もその力が欲しいから狙われる。あるものは民草を守るために使い、あるものは自分の国を作り、あるものは隠遁し、あるものは兵器として運用され、あるのは暴力の限りを尽くす。そんな事を可能なのが龍紋持ちなのよ。」

「そりゃ、確かに脅威だわな。」

「随分と他人事みたいに言うわね。」

「んー、だって実感湧かんしなぁ。それにこれただの刺青だからそんな大層な能力もないと思うんだが。それに呪いとか言われてもなんか怖いし。」

「はぁ、本当アンタね。もういいわ。街に向かいましょ。日が暮れるまでには着きたいのだわ。」

「へいへい。」


道中に数回魔物や賊に遭遇はしたが基本的には整備されている街道に沿って来れたので日が暮れる前には関所前には到着した。


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