West Journey
そして待ち合わせの時間。
「アンタが依頼人で合ってるかい?」
「へい、そうですぁ。あたしゃ、王虎會の中でも運搬を扱う部門“青猿”で運び屋をやらせてもらってるフーテンって言います。以後お見知り置きを。虎の親分さんから腕利きの用心棒がいると伺いましたんで。」
「で、依頼内容から確認したい。」
「へい、今回はネオカブキから少し西側にあるアタンミって街に行くんでその間の護衛を頼みたいと思ってます。」
「他所に依頼頼むって事は訳ありか?」
「いやぁ、そんなんじゃないですよ。」
依頼人は口籠る。
「道中は基本的に整備されているんでよっぽどじゃ無い限り特に問題は起こらないと思うんですが、ここ最近途中にあるハコーラって関所付近で賊が出没するらしいって噂があるもんで。」
「なるほどね。まぁいいや。ってことで今回の依頼気張っていきますか!」
「おー。」「おーっ。」
元気のない二つ返事と組に入って初めての依頼に胸を躍らせる声が聞こえた。
そして道中何も起こるはずもなく。
「おいおい、途中に野犬や小型の魔物が来るくらいで本当に特に何もないままハコーラまで来ちまったぞ?」
「ほんとね。」
酔いも醒めいつもの調子を取り戻したリンが返事する。
ハコーラの関所もいよいよ近づく。近づくにつれ山並みは深まり、出てくる魔物も多少強くはなったもののなんなく撃退した。




