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第10話 西遊記


数日後。

王虎會のシマの中にあるとある小路にある猫猫飯店(マオマオはんてん

その中では今回の一件が終わり、龍と虎が相対していた。

リンが重い空気を変えるために口を開く。

「ウチのセンが何か粗相をしてしまったのでしょうか?ほら、セン!アンタも謝りなさい。」

「い、いやぁ…心当たりねぇんだが。」

「はっはっはっ。」

タモンが堪らず笑う。

「いや、そんなことはないよ。お嬢さん。」

「龍よ。先の一件では世話になった。犠牲はあったが最悪の事態はなんとか防げた。お前のお陰だ。」

「お、おう。随分としおらしいな。」

「ふん、見ての通りウチの組もシマも俺自身もボロボロだからな。」

先の戦いで左腕と左目を失い、まだ傷も治りきってはいない様子だ。

「今日、お前たちを呼んだのは他でもない。一連の出来事の解決に協力をしてくれた礼をしたくてな。報酬だ、色をつけておいた。」

金袋には大量の金がたんまり入っていた。

それを見てリンが震えながら尋ねる。

「これはいくらなんでも貰いすぎなんじゃないかしら?貴方たちのシマも荒れて復興するのにもお金が入り用になるのじゃなくて?」

「ははは、お嬢さん。こちらの懐事情まで心配してくれるのかい?ありがたいね。」

「なに心配いらねぇさ。ウチだってそれなりに大きな組だ。それにスジを通さなきゃ、それこそ笑いモンだ。受け取ってくれや。」

「そうだぜ、リン。コイツに恥かかせてやるなや。」

「そうね。ありがたく受け取らせてもらうわ。」

「それとだ。これが本命だが、我々、王虎會は登竜門と組同士で提携を結びたいと思っている。勿論、五分の盃で兄弟格でだ。」

「ほぉ、それはこっちとしては願ったり叶ったりだが、言っとくがウチは出来立てホヤホヤの弱小組だぞ?あんまりそっちにメリットもねーように感じるが?」

「ふん、これはいわば投資みたいなもんだ。それに受けた恩返さないんじゃ、義理もへったくれもねぇ。看板でやってんだ。こっちも。」

「なら、その話ありがたく受け取らせてもらう。」

「ならば、正式なものはおって声明しておこう。」

「よし、この話はこれで終わりだ。今日は無礼講だ。好きなだけ食って呑め。」

「コンミャオ、料理と酒を持ってこい!」

「はいにゃ!よかったにゃ!店壊されるか心配してたにゃ!」

猫耳の少女が安堵した表情で奥からひょこっと顔を出した。

その日は夜遅くまで宴会が続いた。

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