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漢の約束


長時間の戦闘でお互いに消耗はしている。センは既に満身創痍ではあるが、対するタモンの体には大きく目立つ傷はない。だが、戦い続けていたセンには、常人では気付けない明らかな違和感に気がついていた。それはタモンの体から自然に消費されていく魔力の量が多くなっていることにだ。

魔力に充てられて今の状態になっているなら魔力を抜いてやればいい。なら魔力の瀉血を強制的に起こせば、暴走は治るかもしれない。

「やるしかないか。失敗すればオレは間違いなく死ぬ。」

「でも約束しちまったからな。」

「決めたぜ。覚悟ってやつ。受け取ってくれよな!」

センはサマーソルトを至近距離で繰り出すがタモンはギリギリで躱す。否、躱させる事がセンの狙いだった。ギリギリ躱しそのまま攻撃に繋げようと手を振り下ろすよりも速く、身体を振り子の遠心力で斜めに一回転させ、蹴りを放った。防御の構えも取れずに完全に無防備だった左半身にセンの蹴りが炸裂。その威力は凄まじく、タモンの左腕は宙を舞い、左目にも大きな裂傷が出来てきた。

傷からは魔力が一気に漏れ出て獣の肉体だったタモンは徐々に体が萎み、元の肉体に戻っていく。

「手間かけさせちまったみだいな。龍の字。」

タモンはボロボロになりながら笑う。

「ったく。メシでも奢ってくれよな。それでチャラだ。」

「ああ、約束しよう。」

そしてタモンの目の前は真っ暗になった。

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