朋友(トモ)
その光景を見ていた虎は理解っていた。何故、金虎達が群れていたのか。この里まで来ていたか。それは自分を追ってのことだということを。
金虎は本来群れる事はない。そもそも今回も正確に言えば群れている訳ではない。たまたま目的が合致しここに集まって来ていたに過ぎない。
その目的というのが白金虎、私である。白金の体毛を持つ私は種族に取って不吉の象徴なのである。はるか昔、私と同じ体毛を持つものがいた。そのものはある日突然同族狩りを始めた。理由はわかっていない。だがそのせいで私達の種族は種の存続も厳しい時代があった。それ以来、白金の体毛で生まれてくるものは間引かれていた。私もそんな運命を辿る筈だった。
しかし、私は生き延びた。生き永らえた。種族の掟を破り母が私を護り、山が怒り地獄を為し、あらゆる要素が運命が私を生かした。
拾った命、守られた命、1秒でも長く生きようと隠れ住んでいた。が、それも突如終わりを迎え、追跡者に追われる日々が始まった。
その結果が先の少年との出会いに繋がった。
私が今まで受けて来た恩を今返そう。母よ、ご照覧あれ。同胞どもよ、我が覇を見よ。
それからの事は殆ど覚えてない。全ての同胞を斃し、私の周りには血の池が広がっていた。
ボロボロになった少年が私の元に足を引き摺りながらも寄ってくる。少年が私に何かを語っている。
もっと、大きな声で話してくれ。聞こえない。
その時気がついた。自分の体の殆どが機能していないことに。
なるほど、そういうことか。私が生き永らえたのはこの為だったのだ。虎は静かに悟る。
虎は少年に凭れ掛かる。
「少年よ、我が朋友よ。お前との時間は実に善きモノであった。お前はこの世界において尚強く、輝いたモノであった。故に強すぎる光に弱きモノは並べないだろう。ならば我が共に或ろう。受け取れ、餞別だ。」
意思の疎通など叶わぬ種族の違い。それも人間と魔物。だがこの時はしっかりと通じていた。
少年は涙を堪える。
「受け取った、お前の紋(気持ち)。」
少年の背には今まで刻まれることのなかった紋が燦々と輝いていた。
時は流れ現在、虎と龍が相対していた。




