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Once Upon a Time ③
恐らくあの虎の魔物は自分の痕跡を辿り、この里の付近にでも来ていたのだろう。少年に付いた自分の移り香で自分と勘違いしたのだろう。自分の追っ手はある程度排除し、撒けたと思ったのだがこの惨状を招いてしまった。あの少年はこのままでは殺される。そう思った矢先。
少年の渾身の殴りが虎型の頭蓋を砕いたのであった。
決着。人と獣。本来、勝負にすらならないはずの絶対的な性能差がある。しかし蓋を開けて見れば弱者であるはずの人間の子供が勝っていたのだ。
少年は安堵し片膝を着く。
安心した束の間。虎型の魔獣が群れで街を囲んでいたのだ。
本来群れることのない筈の金虎が群れを成している異常な状況。
金虎達は明確に少年を種族に泥を塗った敵として認定したのである。
これが意味すること即ち少年の命はここまでだと言うことに他ならない。




