咆哮
その頃センは暴徒の鎮圧に成功し会場で慌てふためいてる観客の誘導をしていた。
遠目に闘技場内の様子を確認したらタモンとヒカルが闘っているのが見えた。光と煙幕が発生したかと思うとヒカルが会場から出ていくのが見えたので追うことにした。
闘技場を脱出し街の大通りに出た満身創痍のヒカルは人混みを利用し追手を撒こうと画策していた。
「なんとか肉片は少し採取出来たけど、龍に続いて虎の相手までする羽目になるとはね。完全に誤算だったよ。」
「もう少し進めば虎のシマからは出れそうだ。」
「逃げ切れるとでも?」
タモンが追いついた。
「早過ぎるよキミ。そこまで性急だと嫌われるよ。」
「生憎、お前みたいなのには好かれる必要はないからな。」
ヒカルの額に脂汗が滲む。
「これは流石にマズイことになったね。この状況をどう打破しようか考えていたんだけど。」
ヒカルの近くにたまたま歩いて来た女の子が目に入る。
「こうすればよかったんだ。」
ヒカルは小さい女の子に向かい魔薬弾を撃ち込む。
「くっ。」
タモンは銃弾が女の子に当たりそうになるすんでの所で間に入り庇う。
「残念でした。君も終わりだね。」
ヒカルは不敵に笑う。
「銃声が聞こえた!大丈夫か!」
遠くからセンの声が聞こえる。
「もう少し楽しみたかったけど、この辺でお暇させてもらうよ。」
「それと!君に打ったのは濃縮した魔薬だからね。理性なんてすぐにトんじゃうからね。君が壊れていくのをみれないのは残念だけど。」
そう言いながらヒカルはその場を後にする。
「ハァハァ。」
タモンの息は絶え絶えなる。
「"龍“!!!」
タモンが叫ぶ。
センが漸く駆けつける。
「すまん、下手打っちまった。」
「お前にこんな事を頼むなんて情けねぇ話だがよ。」
「このままでは抑えきれない。俺が全てを壊しちまう前に、俺を止めてくれ。」
センは察した。
「ああ、頼まれた。」
「感謝する。」
そうタモンは発すると同時に咆哮を上げると共に跳んだ。向かう先は虎牢館前の広場。
周囲への被害を少しでも抑える為にである。タモンはほぼ消えかけていた理性の中で無意識ながらやんとか虎牢館前の広場までたどり着く事が出来た。
後を追うようにセンも広場に辿り着いた。そこには変わり果てた姿のタモンが待っていた。
顕現、虎の王!!!




