天翔ける龍が如く
一瞬、強い光を感じ目を開けると…。
〜異世界ヤクザ〜サツにパクられそうになったオレが異世界で組を立ち上げ、やがて龍になる
地平線の果ての果てまで続く大草原、どん底の街ではおおよそ嗅いだことのないような強い青の匂い、そして眼前で今まさにドラゴンに捕食されそうになっている女。
ドラゴン?なんだここは?俺は確か死んだ筈だよな?死の間際におかしなことを言われたせいで産んでしまった妄想か?それともまさイカれ警察官の言ってたことは本当なのか?"わからない"が続く。ただ今、目の前で起きている"わかる"女が泣いている事実。
ならばやることは一つ。
大口を開けたドラゴンが泣きじゃくる女を喰おうとする瞬間。自身の何倍もの体躯を持つドラゴンの横面を思い切り殴りつけた。殴りつけたのだ。
衝撃音と物凄い風圧、鈍い音が響き渡る。
「女子供が泣いてるんなら助けちまうのが漢よな。オメェは俺の前でナオン泣かせた。それだけで俺がオメェ倒すのに理由は十分だ。」
ただのパンチの一撃でドラゴンは吹き飛ぶ。
「なっ、竜を一撃で!?」
先程のドラゴンは左半分の顔面を失っていた。
圧倒的なまでの“暴”、この世界においての生態ピラミッドの頂点の竜を屠るほどの破壊力。
その様を目の前で見ていた者、遠くで観測した者、そんな存在が現れる事を予期してい者。間違いなく世界の均衡が、秩序が、理がこの瞬間より動いたのである。
「よぉ、ケガはねぇかいお嬢ちゃん。」
女に手を差し伸べる。
その背中には龍の紋様が輝いていた。
第1話 天翔ける龍が如く