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大会当日
大会当日。
昼前になると黒塗りの高級車が迎えに来た。
「大会の日か。」
「高飛びはしなかったようだなセン・ゴクラク。」
「しても良かったのかい?」
「ふん。して今生の別れは済ませたか?」
「随分と優しいんだな。だが余計なお世話だい。」
「んじゃ行ってくる。」
センは振り返りニカっと笑う。一瞬、リンは不安そうな表情を浮かべる。
「心配するな。無事に帰るから。」
「心配なんてしてないわよ。」
「今日はあの娘がこっちに来るんだろ?そんな顔じゃせっかくの再会が台無しだぞ。」
「わかってるわよ!」
「森の祝福が貴方を護らんことを。」
リンが唱えると光の粒子がセンを包む。
「なんだこれ?あったけぇな。」
「私の里に伝わるおまじないよ。ありがたく受けっておきなさい。」
「おーあんがとな。こんなん貰っちまったら負ける訳にゃいかんわな。じゃ、ちぃといってくるわ!」
「いってらっしゃい。」
センは軽い足取りで黒塗りの車に乗った。




