躍動
その夜、街中の酒場の話題は突如現れた昇り龍で持ちきりだった。
そして噂の中心がいる酒場でも勿論。
「あんちゃん、一杯奢らせてくれや。」
「あんた龍紋って一体どんな竜を倒したんだい?」
「いい男ね。私と夜を明かさない?」
「お近づきに名刺交換を。」
様々な人種が取り入ろうと近づいていた。
「はぁ、落ち落ちとメシも食ってらんねぇや。仕方ねぇ。」
のそりと立ち上がる。
「さっきも言ったが俺たちはこれからこの街で所謂御用聞き始める“登竜門”っていう組のモンだ。」
「用があるなら組で聞くからそこんとこよろしくぅ。」
と、睨みとドスの効いた声で酒場全体に聞こえるように言った。
一方その頃、
真紅の旗袍を身に纏った妖艶な女は新聞を読み、スーツの伊達男はニヒルに笑い部下達と酒を飲み、少年は無表情に空を眺めていた。
そして、
ネオカブキの西側を仕切る王虎會本部“虎楼館“にて。
王虎會直系黒虎組組長 “バーム”
「すいません、総帥。こいつがウチの名を騙ってシノギをしていた様です。ウチの下っ端と組んで小銭を稼いでいたそうです。オレの教育不足です。ケジメはつけますんで。それおウチの名前に泥つけたという龍の男にも落とし前をつけさせます。」
奥には筋骨隆々の男が佇んでいた。
「龍か。」




