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(=・ω・=)<今年は猫年!

 卒業文集にしようと思ってたけど、文字数が多すぎて没ったので供養

 昔々ある所に、ニケという猫がいました。

 鼠や魚を捕って、その日暮らしをする野良猫です。


 とある夜。


グウゥ


「おなか空いたにゃあ」


 ニケは野良猫の集まりで、お腹を鳴らしていました。

 彼は今日、狩りに失敗してしまい、何も食べられなかったのです。


「ドンマイ。堀の方は豊作だったぜ」

「いいにゃあ」


 雑草をいじりながら、野良猫仲間との会話を続けます。


「それでさあ、帰り道に人間が兎にニンジンをあげてたんだよ」

「にゃあ」

「『俺も貰えるかも!』と思って、その人間に擦り寄ってみたんだけど、兎に全部取られたんだ。どうしてだと思う」

「さあ?」

「『今年は兎年だから』だってさ」

「あー」


 時々あることではありますが、今日は空腹のせいで余計にイラっとしたのです。


「今年が猫年だったら。俺が餌を貰えたのに」

「恨み事なら虎に言え。多分同一視されてる」


 思い出すと、余計に鬱憤が溜まって来たようで、兎の姿を思い出しながら、シャドーボクシングをしていると……一つ、妙案を思いつきました。


「そうだ!猫年を作ろう!」

「は?」


 野良猫仲間が『何を言っているんだ』という目でニケを見ます。


「……どうやって?」

「十二支の動物を一種類、全滅させるんだよ」

『にゃっはっは!』


 堪え切れなくなって、野良猫仲間のみんなは大笑いを始めました。

 彼らは、ニケの話を笑い話だと思ったのです。




「誰か、協力してくれる猫は?」

「え、マジで言ってるの?」





「にゃん!」

「チュー!」


 次の日から、ニケは鼠狩りに精を出しました。

 十二支の中で鼠を選んだ理由はもちろん、十二種の中で一番弱いからです。

 あと、最初になりたいという下心もありました。


 しかし、鼠をいくら狩っても、鼠が減る気配は一切ありません。


 とある追いつめられた鼠の談。


「そりゃ、俺達鼠は世界中にいるんだから、猫一匹がちょっと頑張っても、絶滅なんて不可能だよ」

「絶滅なら、個体数が少ない種を選ばないと」

「例えば、(たつ)とか」


 『なるほど』と納得して、ニケはその鼠を口に放り込みました。


「竜、か」



 次の日、ニケは竜がいるという山を訪れました。

 神秘と威圧感で満たされた山に、畏れを抱きながらも、気丈にその山を昇っていきます。

 竜は、その頂上でとぐろを巻いていました。


 千年生きた大樹の様な、強大な竜。

 口から白い煙を吐き、ニケを見下ろしながら、言を発します。


「猫よ、我に何の用だ。……猫年を作る?……バカじゃねぇの」

「死にゃあああああああああああ!」

「フンッ」


 ニケは鼻息一つで二つ山の向こうまで吹き飛ばされてしまいました。

 頭から畑に刺さったニケに、野良猫集会に参加していた猫の一匹が彼を諭します。


「いや、普通に考えて竜は無理だろ。大人しく鼠にしとけよ」

「そうだにゃあ」


 ニケはその通りだと思い、頷きました。

 猫が、竜に敵う訳がありません。


 しかし。


「ニケ、なにやってんだ?」

「いにゃ、ちょっとにゃ」


 ニケは自分を鍛え始めました。

 理由はニケにも分かりません。ただ、意地になっていたのです。

 周りの猫にどれだけバカにされても、走り込み、爪を研ぎ続けます。


「がんばれ」


 次第に、応援してくれる猫がポツポツと出てきました。

 ニケと一緒に自分を鍛える猫も、少しずつ、少しずつですが出てきました。




 そして、約一年後の冬の夜。

 猫と竜は、あの山の頂上で対峙していました。もう畏れはありません。


「またお前か」

「にゃあ!」


 二匹の間の緊張が高まり……ゴーンという鐘の音で、同時に動き出しました。


「ヴァウ!」


 竜の炎弾。自分の体長の何倍もの大きさの弾を、ニケは鍛えた足で避けます。

 そのまま、電光石火で蛇行しながら竜の方へ向かって行き、竜はその巨大な腕を振り下ろしました。

 それもニケは避け、その手に噛みつきます。


「ヴ」


 竜は少し狼狽(うろた)えたようですが、直ぐに気を取り戻し、手を振り回してニケを空中に投げだしました。

 身動きが取れないニケに、炎の弾が迫ります。

 『またダメだったか』とニケは目を閉じ……何かに引っ張られて、無事に着地しました。

 目を開けると、そこにいたのは……。


「クロ!」

「しっかりしろよ」「今日こそ勝つんだろ」

「タロウ、モモまで!」

「それだけじゃ無いぜ!」


 山の頂上には、近所の猫のべ百匹以上の猫が集まっていました。

 泣きたいのを堪えながら、百以上の思いを背負いながら、ニケは叫びます。


「行こう!」

『にゃあ』

「来るがいい!」


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 猫達は散らばって走り出しました。

 打合せなど全くしていないにも関わらず、一匹の巨大な猫の様な一体感で竜に迫ります。


「ヴァウ!」


 竜がその中央に炎弾を撃ちましたが、猫達はそれを綺麗に避けます。

 その隙に、一番足が速い部隊が、胴体を爪で引っ掻きました。


「小賢しい!」


 竜は長い尾を振り回して、広範囲の薙ぎ攻撃を放ちます。

 破滅を予感させる、津波のような一撃です。

 しかし。


『にああああああああああああ!』


 最前列の猫達は避けることなく、その四本の足でその攻撃を受け止めました。

 一匹では何もできず、世界の果てまで吹っ飛んでいたでしょう。

 ですが、こちらは一匹ではありません。


『にああああああああああアアアアア!』

「なっ!」


 五十匹ほどの猫は、その災害の様な攻撃を見事止めきったのです。

 まるで予想できなかった自体に、竜は困惑します。

 刹那。


「グにゃアア!」

「ヴォウ!」


 激痛。首の下に鉄槌を撃ち込まれた様な激痛が走りました。

 隠れていた猫が、竜の逆鱗を思い切り突き上げたのです。

 弱点を付かれた竜は、大きくのけぞり……視界に映ったのは昇った月と、それを背負う――ニケ。


「にゃあああああああああああああああああ!」


 どうやら、猫達を踏み台にして空中へ飛び出したようです。

 ニケは一直線に竜へ拳を突き出し、竜は逆鱗を付いた猫を払って、炎弾を作り出します。


「ヴォウ!」


 炎の弾。避けられない。だから――貫く!


「おオオオオオオオオオオ」


 熱い。熱い熱い!

 体中が文字通り燃え上がります。

 しかし、拳は引っ込めず。その炎すら力に変えて。


 ニケは、炎弾の中を突破した。


「なっ!?」

「食らえ……今年は猫年だあああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアァァ!」


 研いだ爪は、竜の眉間を刺し。竜は倒れました。





「やったあ」

「これで猫年が……」


 猫たちが興奮で湧き上がっていると……。


「敗北した、か」

「鍛え直しだな、火子(かし)よ」

「いやしかし、今回は挑戦者達を称賛するべきであろう」


 山の奥から、新たに三匹の竜が出現しました。

 それも……空気だけで、さっきの竜よりも相当強いことが分かります。


「面白いものを見せてもらった礼だ。今回は



    少し痛めつけるくらいで許してやろう」



『ぎにゃああああああああああああああああああああああ』


 猫年ができる日はまだ遠そうです。


 書き足した分もあるとはいえ、こんなの入るワケねーわ

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