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2話-2「特有魔術」

 庭に着き、用意されていた机に着くと、ヌトスさんが口を開いた。


「さて、お前らは魔法を何によって行使する事ができるか分かるか」

「魔力、ですか……?」

「まああながち間違ってはいない。確かに階級が変わることで魔力の量も比例し、魔力がなければ行使は不可能だ」

「階級?」

「む、魔術は下段と上段。その中でも初級、中級、上級に分かれる。その上もあるが……まだお前たちには関係のないことだ」


 よくある階級設定。

 魔力の増幅に関係があるんだな。


「因みに貴様らは何級まで使えるんだ」

「中級をちょっと」

「俺は……全く……」

「……そうか、まあ頑張れ」


 ヌトスさんに励まされてしまった。別に恥じてないし……。

 アイナは中級が使えるのか。すごいな。


「すみません。話の腰を折ってしまいました。魔法の行使の話でしたね」

「そうだな、魔法は魔力と、詠唱によって行使される」

「詠唱……ですか?」

「ああ、詠唱は魔法の行使には必要不可欠だ」


 ん? レアーさんが無詠唱の話をしてた気がするんだが?


「無詠唱というのがあるのでは?」

「それも脳で詠唱をしている」


 脳、頭の中で詠唱をするということか? 念力みたいに頭使わなきゃいけないわけか。

 そうなると無詠唱って効率悪いし面倒くさい気がする。


「詳しく説明してもらっていいですか?」

「ああ、無詠唱というのは脳に詠唱を焼き付けて行使しているのだ」


えぇぇ!? なにそれ、タトゥー的な?


「魔法を何度も使ったら頭に魔法を行使した時の感覚が残って、その感覚で無詠唱を使えるんですよね」

「そうだ。よく知っているな」


 アイナが説明してくれる。頭がいいね。


 ええと、まあ、つまりこうだ。

 詠唱を使いまくれば頭に詠唱の感覚が残る。

 それによって詠唱をせずともマホウをバーンだ。


「てことは詠唱しまくれば無詠唱はできるんですか?」

「そういうことではないが……いや、まあそうだな」


 そうときまれば詠唱パーティだな。

 目からビームを出しまくって貧困で苦しむ民を救ってこよう。


「よし、話すより挑戦だ。まず特有魔術を見せてくれ」

「特有魔術?」

「ああ、お前は知らないんだったな」


 え? アイナは知ってるの? 俺だけぼっち?


「特有魔術とは、人が生まれながらに持つ魔法だ」

「どうやって使えるんですか?」

「む。ならばまず見せてやろう」


そういってヌトスは静かに口を開いた。


「精霊の象徴を具現化せん――「アストラリウム・エクソシズム」」


 その瞬間、彼女の手から緑色の光が放出された。

 その光は形を持ち、近くにあった花の方へと向かう。

 いや、これは形とは言えないのかもしれない。


 風だ。

 

 数十秒滞空した風は、近くの花を空へと散らして消えた。


 ……やっぱり魔法は美しい。

 第一手から火や水が出るって時点で凄い。


「これが私の特有魔術だ」

「風魔術っていうのがあるんじゃないですか?」

「風魔術は操れやしない。そこが特有魔術の強みだ」

「あ、そうなんですね」

「特有魔術は人それぞれ生まれた瞬間に所有する魔法だ。アイナ、次はお前が見せてくれるか?」

「あ……はい」


 そう言って彼女は近くの枯れた赤色のチューリップもどきに手を触れた。

 そしてゆっくりと、そして静かに口を開いた。


「精霊の象徴を具現化せん――『アストラリウム・エクソシズム』」


 すると、彼女の手から小さな黄色い光が出た。

 光はチューリップもどきに触れ、花は綺麗な赤色の彩りを取り戻した。


「すごい」


 思ったままを口に出してしまった。

 だがアイナを見たら嬉し恥ずかしそうな顔をしてたからいいだろう。

 治癒か、これって唯一無二なのか?


「ていうか、魔術って無機物にも対応するんですね」

「特有魔術はな」


 返事をしたのはヌドラさんだ。


「特有魔術は体に宿る精霊を召喚することで行使することができる。その精霊が術を使うのだ。精霊は無機物も有機物も関係はない。魔力ではなく霊気で術を使う」


 霊気。これまた新しい単語が出てきて頭がこんがらがる。

 無機物にも対応するのがアイナの特有魔術なのか。

 てかそういうのはすぐに教えてほしいもんだな。


「精霊を召喚するのは少し難しいからな、詠唱は必要不可欠だ。アイナは知っていただろう」


 アイナを見てみたら当然だと言わんばかりの顔をしていた。

 ぐぬぬ


「まあ、詠唱は覚えたな。ヤクシャ、やってみろ」


 言われたので、やる。

 俺はまだ能力がわからないので、適当に前に手をかざす。そして詠唱。

 俺の人生初の魔法。出し惜しみは、しない!!


「精霊の象徴を具現化せん――『アストラリウム・エクソシズム』!!」


 詠唱を終えると、手から黒い光が出た。

 その光は近くにあった花に触れ、消えた。

 花を見ると、枯れていた。

 真っ黒になって。


「す、すげえええ」


 魔法すげえ!! 手から黒いの出たよ!! やば! むっちゃ興奮するんだけど!!

 と、二人の方を見ると呆気にとられていた。


「ど、どうかしましたか?」

「まさか髪だけではなかったか」

「何がですか?」

「最悪の悪魔。オーデン・オスバードも同じ特有魔術だったと聞いている」


 最悪の悪魔……?


「ヤクシャ、その能力は使わないほうが良い」

「なんでですか?」

「軍に殺されるぞ」


 え

 最悪の悪魔ってそんなヤバい奴なのか?


 え、じゃあ、髪、染めようかな……

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