一生懸命魔界で生きていたら、いつの間にか魔王軍の将軍になっていました。
「クラヤミ将軍に向け、敬礼!」
私の声を張り上げる。眼下に広がる魔物たちが綺麗にそろって敬礼をした。
私は一歩前に出た。
「なおれ!」
ザッとこれまたそろって直立不動の体勢となる。私は満足そうに周りを見渡してから、言葉を発し始めた。
「さて皆の衆、これより始まる征討戦は魔王軍にとって負けられない戦いとなる。我々第三軍の担当は補給路の持続的維持のための護衛、周辺の村の治安維持、そして遊軍として後方に待機しておくことだ。地味な役回りで目立たないかもしれないが、魔王軍の勝利にとっては欠かせない、重要な一ピースだ。皆の働きを期待している。」
言い終わると同時に私は兵士に背を向けて、壇上を降り仮説テントへと護衛とともに向かう。
「これより役割分担を言い渡す!第一隊は...」
背後から聞こえる副官のきびきびとした声に、思わずない顎髭をなでてしまう。
テントの幕が二人の護衛によって開けられる。私は軽く手を上げて、テントの中に入る。幕が閉められたのを確認してから、私はベットにダイブした。
「元社畜の俺に将軍は無理だよ.....」
そう俺は生まれながらの魔物ではない。この世界とは別の地球で社畜をしていたただの人間だ。俺は立ち上がって、鏡魔法を発動する。そこに映っていたのは、身も皮もなく、鎧に身を包んだ骸骨だった。最初は何もなかった。骨身一つで魔界に放り出されたんだ。まあそこから一生懸命生きてたら、自称魔王の幼女と出会い、そこからさらに頑張って生きてたらいつの間にか魔王軍の最高幹部の一人になってしまっていた。ここまで何とか優秀な副官や隊長などのおかげで事なきえているが、いつぼろが出てもおかしくない。社畜の時よりはましだが、こちらもそうとうにストレスだ。
「魔王ちゃん、俺もう限界。」
悲痛で静かな叫びはテントの中だけでとどまった。これは元社畜の俺が、魔王軍でなんとかぼろが出ないように胃痛とともに過ごす物語である。
「魔王城勤務がいい、魔王ちゃんの私設でいいから相談役でいい(´;ω;`)」