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それから一日が経ったの昼休み。有馬は二年棟に向かっていた。二日ぶりに登校したと和勝からメールが入ったからだ。いつもこちらの教室まで来てもらっているから、たまには迎えに行こうと有馬は気遣ったのだ。
しかしそんな気遣いも虚しく、教室に入り和勝の机を見ると姿が見えない。教室内を見渡してもいない。行き違ったのかな? と思いつつも有馬は近くにいた男子生徒に声をかけた。
「和勝ってどこに行ったか知ってる?」
白ご飯を口に運ぼうとしていたその生徒は、弁当にご飯を戻し、少し面倒そうな顔で答えた。
「あいつなら多分自販機ですよ。休憩時間には絶対寄りますから」
「そうなのか? ありがとう」
昼休みに絶対に寄るのならまだ理解できるのだが、休憩時間ごとに自販機に寄るなんて暇の弄び方を間違えているだろうと、首を傾げながら有馬は二年棟の自販機に向かった。
自販機を見ると、和勝の姿が見えた。それが有馬の瞳に映った瞬間、運動会の全体練習日の休憩時間、自販機の横にもたれて膨れっ面を浮かべていた唯賀の姿を思い出した。
もしかすると唯賀は休憩時間になると和勝が自販機に来ると知っていたのかもしれない。そこで時間があれば和勝を待ち、声もかけられずそっぽを向く唯賀の姿を有馬は簡単に想像でき、少し表情が緩む。
有馬は自販機のおつり取出し口に手を伸ばす和勝に声をかけた。
「よう、和勝」
突然声をかけられ驚いたのか、和勝は素早く有馬の方を向き、目を大きく見開く。
「有馬さんですか。いつもこちらから向かっていたので、そちらから来ると思ってませんでした。少し驚きです」
「いつも来てもらって悪いと思ったから」
「そんな気遣いはいらないですよ」
やんわりと断る和勝の手にはジュースが持たれていない。おつりの取出し口に手を入れていたのだから、購入したと思ったのだが違ったようだ。
「ジュース買わなかったのか? 何か買ったと思ったんだけど」
「ええ、相変わらず良い物がありませんから、結局入れたお金を戻しました」
「じゃあなんで休み時間ごとに自販機にくるんだ? お前のクラスの奴が言ってたけど」
「そんなの暇つぶしに決まってるじゃないですか。さあ、早く中庭に行きましょう」
和勝は明るい表情をして、二年棟の出入り口へと駆けて行った。
中庭の木陰で芝生の上に座り、弁当箱を広げる有馬と和勝のいつもと変わらない昼休みの光景。しかし今日はその光景に一人足りない。
「あれ? 統さんはどうしたんですか」
コンビニ弁当のからあげをつまみながら和勝は訊ねた。
有馬が呼ばなくても時間が経てばこの場所に姿を現すはずの統の姿が見えないことを気にしたのだろう。
「あいつは風邪をひいて休んでるよ」
「へえ、統さんでも風邪をひくんですね」
和勝の言葉からは嫌味は感じられず、ただ本当にびっくりしたという感じが伝わる。
有馬は弁当を平らげお茶を飲みのどを潤してから、和勝に声をかけた。
「他に異世界の情報って手に入った?」
まだ食べている途中だった和勝だが、箸を置き、瞳を輝かせ有馬を見つめた。
「待ってましたよ、その言葉」
そう言ってポケットからメモ帳を取り出し、書かれた内容を読み上げ始めた。
「これは結構重大なポイントですよ。なんと異世界人は四九日連続でこの世界にいることが不可能だそうです」
四九日。それは異世界人がこちらの世界の人間の命を狙う期間と同じだ。
「どうして無理なんだ?」
「簡単なことです。異世界とこの世界とは存在が違います。異世界には超能力があり、こちらの世界にもあると言えばありますが、異世界と比べれば微少で微力です。なぜ異世界人は異世界と同じようにこちらの世界で能力を供給できないのかという理由は宇宙にあります。原子を造り、数多輝く星達を創造した宇宙が、異世界の能力を受け入れないのです。同一の世界にしない為に」
「えっ、宇宙って神様なの?」
その質問に和勝は笑って答える。
「いえ、これは書物に書いてあった異世界の話ですから、僕らの世界と同じにしてはいけませんよ。確かに有馬さんの言う通り、異世界人は宇宙が存在する全てを創造したと考えていますので、僕らの世界で言う神様と同じように捉えていると言っても間違いじゃないでしょうね」
そう言って和勝は次のページをめくる。
「簡単に言えば、あちらの世界が陸で、こちらの世界が海だと認識すればいいですね。あちらの世界の人は肺呼吸しかできないので、息が続くまでしか水中にしかいられない。そう考えて下さい」
「おお、なるほどね。その息ができる期間が四九日と言うわけか」
「そうです。でも多少前後します。能力を使ったか使っていないかで。それは水中で泳ぐか潜るだけかの違いと同じですね」
水中で体力を使えば使う程、息は続かなくなる。それと同様、異世界人がこちらで能力を使えば使う程こちらの世界にいられなくなる、そういう理論だ。
「能力が使えるうちに異世界人は異世界に帰らないと帰れなくなります」
「どうしてだ? 時空の穴的な物が空いているんだからそこに入ればいいだけだろ?」
「なら有馬さんはそこに入れると思いますか?」
「そうなると大問題だよな」
その通り、と和勝は頷く。
「なので、穴をあけた人がこちらの世界の人間を入れないようにフィルターをかけるのです。そのフィルターを通る基準が超能力を持つかどうか。なのでこちらの世界で能力を使いきってしまった方は、異世界に戻って能力の補充をすることもできない、永久に無能力者」
「ただの人間ってことか」
「ええ、ただの人間があちらの世界に行くことなどできませんので、一生こちらの世界の住人になります」
その言葉に有馬の背筋が凍った。
リラはこちらの世界にきてそろそろ四〇日が経過する。その間に様々な能力を使ってきたのでかなり消費されているはずだ。そうなると能力を微弱になり有馬の命を救うことが難しくなる。それだけではなく、リラ自身も故郷へ帰れなくなる可能性だってある。
有馬は自分の為にリラが犠牲になるのではないかと不安になり、必死な思いでどこか抜け道がないかと考えた。
「フィルターがかかっていない場合ってのはないのか、密入国者的な感じで」
「密入国、つまり密入界者がいることは書物に書いていました。が、こちらの世界に行くには異世界の偉い方の許可が必要となるのです。その許可を得ないで、穴をあけた方だけに承諾を得てこちらの世界にくる、と言う方法しか書物には書かれていないので、おそらく穴は厳重に管理されているのでしょう。なのでフィルターがない場所はないかと思われます」
「そ、そうか」
有馬は力なく答え、青空を見つめた。
自分が死ぬかリラが帰れなくなるか。その選択肢は酷く虚しい物で、どちらも選びたくはないが、有馬は何があっても自分の命は選択しないでいようと誓った。
俺が死んでも立石と四ツ木と青戸の借金をリラなら、別の方法でどうにかしてくれるだろうから。
放課後、有馬とリラは昨日の約束通り、青戸の部屋にいた。
しかし部屋の空気はどんよりし、さあやるぞ、という活気が微塵も感じられない。
中だるみならまだ理解はできるが、今日は有馬を含めた四人の合同練習初日だ。緊張をしているというのならまだわかるが、彼らは明らかにそうではない。表情が物語っている。
「なあ、どうしてそんな不貞腐れてるんだ、一昨日は結構やる気だったろ?」
彼らが何故不機嫌なのかある程度の察しはついていたが、コミュニケーションをとることも必要だと有馬は思い、わざと訊ねる。
立石と四ツ木はムスッとしたまま答えなかったが、青戸は有馬とここ数日の関わりがあるからか口を開いた。
「僕らはちゃんと練習してたんだ。でも中々上達しなくて……だから息抜きにゲームをすることにしたんだけど、そこでタイミング良く委員長がきて文句言ったんだよ。あいつ自分は参加しないからこの手品がどれだけ難しいかわかんないんだよ」
「そうそう、あいつは熱血教育実習生かよ」
四ツ木はわけのわからぬ例えをして話しを続ける。
「俺たちのことなんにも考えてないんだよ委員長は。自分の手柄だけ考えて。じゃないとあんな頭ごなしに怒ったりしねー」
その言葉を聞いて有馬はつい笑ってしまう。それが気に食わない立石は有馬をキツく睨みつけた。
「何だよ笑いやがって。こっちはマジムカついてんだぞ。しかも委員長来てないしさ、気まずいから逃げたのか」
「いやいや、あまりにもお前らが上辺だけしか見れてないからさ。笑ってしまったんだ」
「どういう意味だ?」
「青戸はさっき、統は手品をしないから気持ちがわかんないと言ったな。四ツ木は自分のことしか考えてないと言ったな。立石は統が昨日のことを気にして来ていないと言ったな。それがわかってないって言ってんだよ」
笑みを消し、冷めた目で有馬は三人を見回した。
「確かにあいつが怒鳴ったのは間違いだったと思う。でもさ、わかってやってくれよ。統はステージに出れない。ならどうやってお前らのためになろうかって考えて、その結果寝ないで手品の練習をしてたんだ。少しでもコツを掴んでそれをお前らに伝えれたらって……そんなこと自分の利益しか考えてない奴ができるわけないだろ。そのお陰で今日は寝込んだんだ、滅多に風邪なんてひかないのに。これでもあいつの怒りを理解できないか? ゲームをできる元気があるなら、練習しろ。本当に疲れてるのなら体を休めればいいんだ。違うか?」
黙る三人を見渡し、感情を抑えきれなかったことを若干後悔したが、そのマイナス分を取り戻そうと有馬は明るく声をかけた。
「黙ってるってことは反省したんだよな。ならあいつが風邪を治らせて、次来たときに成功できるよう練習しよう。今日は助っ人も呼んだんだからさ」
「そや、あたしも手伝うからがんばろっ」
中々すぐに空気が変わることはなかったが、青戸と立石と四ツ木は携帯の動画を観つつ指先を動かすことで、徐々に良い方向に変わっていった。
しかし、それでも時間が経てばテンションは下がる。
「気合いや、気合い。今が九九回目で、次の百回目には成功するかもせえへんやろ」
リラが皆の気持ちを高めようと元気づけるが、立石が百円の上に瓶を乗せようとして倒れる所を見て、あーっと残念そうな声を上げる。
「リラさん、いちいちうるさい。集中切れちゃいますよ」
「もう切れてるやん」
あっさりと言ってはならないことを言うリラ。確かにその通りだが、口に出されると休憩時間を求める空気になってしまう。空は月明りを照らし始めたので尚更だ。
これ以上集中を切らした状態でだらだら手を動かしても疲れるだけだと有馬は判断し、手を止め誰がどの手品を担当するか決めることにした。
「もう今日はこの辺でいいだろ。じゃあ立石、四ツ木、青戸。どの手品をしたい?」
ジュースの瓶を手から離し、立石は困った表情で答える。
「どれって言われてもな、成功したのはお札の上に十円玉置くやつくらいだ」
「俺はそれができなかったな。どれも成功できてないけど、強いて言えば瓶にお札を抜く奴はできそうな気がする」
四ツ木がそう言うと慌てて青戸も声を上げる。
「僕もそれできるよ。でも……四ツ木くんは百円の上に瓶を載せるのは無理だよね」
「ああ、何もしてなくても手が震えるからな」
「じゃあ決まったな。これでしばらく練習しよう。あまりに無理なら交代もアリで」
目的がハッキリした為か、三人はまた瞳に光が灯されたように思える。すると立石が口を開いた。
「思うんだけど、これってコツとか技術もあるんだろうけど、なにか事前に準備とか成功する秘訣みたいなのがあるんじゃね? ちょっと検索してみるわ」
立石は青戸のデスクトップ型のパソコンの電源を入れ、インターネットを開いた。
有馬達はパソコンを囲うようにして画面を見つめる。
「なんて検索すればいいかな? まあ小技、千円札、十円玉で検索してみよ」
ブラインドタッチで言葉と同時に入力する立石。しかし表示されるのは表計算ソフトの便利な扱い方ばかり。違うか、と呟き、次は小技の部分を手品に変える。
すると最初の項目に『千円札の上にのる十円玉』とそれらしきものが表示された。素早くマウスを扱いダブルクリック。
「なーんだ、これもハズレかよ」
表示されたのは押上がやっていた横に折って、中央に乗せる方法ではなく、縦で中央に折り、徐々に開いて千円札を立たせた状態で十円玉を乗せる方法だった。たしかにこの方法も凄いが、問題はお札の両端を指で握られているところから、これは手品の類ではなく、科学の類なのだろうと思わせる。
技が似ているだけに、中々ウインドウを戻すことはせずに、何かヒントはないか皆画面を見つめる。
すると有馬はある点に気付いた。
「二つ折り……。お前らの財布で二つ折りの奴っている?」
「あっ、俺だ」
返事をしたのは立石だった。そして有馬は確信した。
「やっぱりな。押上も二つ折りで、この中で比較的成功率が高い立石も二つ折りの財布だった」
そこまで言えばわかるだろう、と有馬は立石に目をやる。
「もしかして札を二つ折りにすることが成功の秘訣?」
有馬が頷くと四ツ木がなるほど、と声をあげた。
「支える物が一八〇度だと乗せることは難しいけど、少しでも角度がズレれば乗せやすい」
「ああ、その通りだ。極端だけど九〇度の方が乗せやすいだろ? このことに気付かせないでさり気なく二つ折りの財布から、きっちり中央で折ったお札を取り出した押上のテクニックもあるんだけどな」
「やっぱりコツよりもやり方なんだな。じゃあ瓶に挟んだ千円札の抜き取り方も探そうぜ」
キーボードの軽快な音を響かせ、立石は様々なワードの組み合わせで検索する。しかし中々めぼしい検索結果が表示されない。
「なあなあ、押上の店の名前ってなんだっけ?」
思いつくキーワードが底をついたのか、新たなワードを求め立石は有馬に訊ねる。
「たしか、喫茶プッシュアップだ」
「ネーミングが安直だな」
軽く笑って立石は『喫茶プッシュアップ 東京』と入力した。
「おっ、でたでた」
検索結果には喫茶プッシュアップについての情報がたくさん表示された。店の評価やブログでの感想などなど。
「これでどうやって探すんだ?」
「まず押上のやっていることがどういう技なのか調べなきゃ駄目だろ? でも手品じゃないからどんなジャンルかわからない。だからこの日記やら評価を見て、もし客の中で押上がやっていた手品もどきについて詳しい人がいれば色々書いてくれるはずだ。それを探す」
一〇分程ブログなどを見て回ったが、めぼしい内容は見つからず、仕方なく店のホームページをクリックすることにした。
「店のサイトなんてメニューと定休日くらいだろうな」
立石は嘆息しながらも表示されたページを眺める。
太ペンで書かれたような何のデザイン性もない店名がページの真ん中にあり、その周りを黄色い楕円状の物がいくつか置かれ、その中に文字が書かれている。ニュース、メニュー、営業時間、アクセス、問い合わせとここまでは普通のサイトメニューだ。しかし最後の項目が普通の喫茶店と違っていた。
「スナック芸?」
喫茶店なのにスナック? その矛盾に一同は(リラを除く)首を傾げる。
興味が惹かれ、クリックしてみると、
「おお、ビンゴ! あの瓶の千円札抜く技のってるぞ」
そこには数々のスナック芸と呼ばれる物が絵や動画で紹介されていた。その中には押上から教えられた全ての技が載っていた。そしてやり方も。
瓶から千円札を抜き取る方法は、瓶が倒れない程度に垂れた千円札を指で持ち張ることが大切。百円玉の上に瓶を乗せる方法は、練習あるのみだが、感覚として置ける位置を掴めるはずなので、その感覚を研ぎすませることが大切。とある。そして、
「なになに、スナック芸とは小道具を用いて披露する芸。ただし手品とは違いタネも仕掛けもない。だってさ」
さらにサイトを見ていくと、あの店はどうやら七時以降はスナックに変わるようだ。そしてその時間になると、押上の父であるマスターが、お客にこのスナック芸を披露するらしい。だから押上は様々なスナック芸を覚えていたのだ。
「なるほどね、携帯じゃ画面が小さいからわかりにくかったけど、パソコンだとわかりやすい」
立石がそう言うと二人は頷き、URLをチャット先に送るように言った。
「これでどうにかなりそうだな、もしつまずいてもお前らの得意なネットでやり方を探して反復練習を行えば大丈夫だろうし。じゃあそろそろ帰るわ、また明日来るから」
三人は適当に手を振り有馬とリラを見送った。リラもまたね、と手を振る。
部屋を出るとリラが強く有馬の手を握った。その行為に驚き、とっさに離せよと口に出そうになったが、リラの不安そうな表情を見ると、言える訳がなかった。
「どうしたんですか、リラさん?」
「うん、最近ホンマにギリギリで、近くにおれる時はなるべくこうやっておきたくて」
有馬の命を救えるか救えないかの狭間の状況はリラを不安にさせる。傷跡が付く度にその思いは強まっていく。
もしあの三人に見つかったらどう対処すればいいかわからない有馬は、廊下を早歩きで進み家を出た。
「いきなりですけど、リラさんはここに正式な手続きを踏んできたんですか?」
「全然。あっちとこっちの穴を空ける人が知り合いやったから手伝ってもらったねん」
ということは、リラは和勝が言っていた密入界者のような存在に当たるわけだ。
「他にはそういう人いないんですか?」
「おるみたいやで、組織で。噂にしか聞いたことないけど、その人らはあっちとこっちをつなぐ人に組織ってわからせる為に、こっちの世界にしかない物を見せるらしい」
話すうちに少しずつリラの表情はいつものように明るく和らいでいく。
「それって何か知ってます?」
「知らん。ありすぎてわかりません。でもなんでそんなこと訊くん?」
有馬はうつむき、少しだけリラの手を強く握った。
「リラさん最近また傷が増えてるから、密入界してる人達に手伝ってもらってもいいんじゃないかって思いまして」
本当は言いたかった。力が消耗されているから、もう僕のことを放っておいて下さい。今ならまだ間に合うと。しかし有馬にそこまでの勇気はなかった。
「あたしやったら大丈夫。まだ元気やし、あと一週間くらいやろ? 安心して有馬」
健気に微笑むリラを見ていると、本当に大丈夫そうな気がしくるから不思議だ。
「すなっく芸? あたしの能力でちょちょいのちょいやのに」
本当ですか? と疑うような目をして笑いかける有馬。
「ホンマよ、ほーんーまっ」
言いながらリラは有馬の手を握りながら大きく前後に振る。
「あんまり無理しないで下さいよ」
楽しげなリラとは対照的に、悲しげな表情で、秋の夜風に吹かれて消えそうなくらい小さな声で有馬は言った。




