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第ニ十話

 翌朝、いつになく早く目覚めた僕はぐっすり寝ている二人を起こさないよう細心の注意を払いながら忍び足で廊下を進み外へ出てみた。空を見ると消えかかった星が赤紫の空に残っていた。


「……綺麗じゃろ」


 突然、声が聞こえたため、驚きながら後ろを振り返ると、おじさんが寝癖も直さずに外に出て僕と同じように星を眺めていた。


「ここは、砂漠ん中でも星がきれいにみられる場所として有名なんじゃよ」


「へぇ……」


「今の時間帯が一番ええ。夜になると魔物が動き始めるけ」


「確かに……」


 ふと、星から目を外しこちらを向いたおじさんは目的を果たしたら帰れるからのぉと呟いた。どういう意味かよくわからなかったため聞き返したが、ちょうどその時、彼女が眠い目をこすりながら出てきたため結局聞けなかった。


「おはよう、嬢ちゃん。早いのぉ、もう少し寝てても良かったんじゃが……」


「二人共おはよう。眩しくて目が覚めたの」


 欠伸をしている彼女からドアに目を移すとこれでもかというほど開けっ放しになっていた。きっとおじさんの仕業だろう。ちらっと見ると僕の目線に気づいたおじさんは、こちらを向いていたずらっ子のような笑みを浮かべ口の前に人差し指を持っていった。


「ん? 今何したの?」


「なんでもないよ。さてと、みんな起きたことじゃしそろそろ朝ごはんにするか! とりあえず、お前さんたち中に入ってわしのてごしてくれんか?」


「てご?」


 聞き返すと、彼女が代わりにお手伝いのことよと教えてくれた。それを見ていたおじさんは、不思議そうな顔をして言った。


「ショウはてご知らんのか?」


「はい……初めて聞いた言葉なもんで」


「……やっぱり、わし訛っちょる?」


「ええ」


 彼女がそう答えるとやっぱりと言っておじさんは照れくさそうな顔をしながら言った。


「長年ここに住んどったからの。この地域に染まってしもうた」


「えっ……ということは若い時、どこか違う所で暮らしてたんですか?」


 あぁ! と大きく頷き、おじさんは元々偉い人のもとで働き、警護の仕事をマーティンさんと共にしていたと言った。ちなみにマーティンさんはおじさんの弟らしい。歳も結構離れた兄弟なのだそう。


「今、アレが何やっちょるか詳しくは知らんけどお前さんたちはここに来る途中で会ったんじゃろ? 元気そうにしとるって聞いたけ、安心したいね」


 おじさんはニコニコと笑いながらそう言った。

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