テーマ2 午前10時
時計を見て、背筋が凍った。
午前10時。ありえない。
なぜこのような時間になっているのか。この世界はどうなってしまったのだ。
これまでは9時をこえたことはなかった。
誰だ!誰がこの世界を変えてしまったのだ。
まわりを見ても、物音一つしない静寂。
間違いない、これは私の部屋だ。
いっそのこと、ここを飛び出してしまうか。
誰もいないのだから、それでもかまわないだろう。
逃げる、とにかく逃げるんだ!
私は家を飛び出した。
後ろを見ても誰も追ってこないことにほっと一息をつく。
しかし、次の瞬間、すぐに自分に喝を入れた。
安心している場合ではないだろう!急いで逃げなければ、すぐに追いつかれる。
再び私は走り出した。
ようやく、建物が見えてきた。
ここまで来たらもう大丈夫か?いや、まだ分からない。
私はとにかく中に入ろうと、建物に近づいた。
その時、ビクンの私の心臓が鳴った。
まずいことになった。
ようやくここまで来たのに。なんとか逃げ出してきたのに。
私はもう拘束されるの?
いやだ、それだけは絶対にいやだ。
ここまでたどり着いてそれはあまりにもひどすぎる。
でもここまで来たのだから、もう仕方がない。
おとなしく捕まるか、別の場所に逃げ込むか。
しかし、その別の場所も安全とはいえない。
とにかくこの二択を選ばなければならない。
私は、長い時間、考え込んだ。
時間が経てばたつほど、私の身は危うくなる。
ああ~、もう。
決めた!
家に帰ろう。
どこにでもいる女性会社員の一日。