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7話 他人の都合も考えよう

翌日は師匠から、錬金術師でも技師でも新しいモノが思いついたならソレを優先して作業した方が効率がよくなるし、なによりもその後の作業にも身が入るからとしばらくは薬草を摂りに行かなくてもいいと言ってもらえた。


あまり良く分からないがそれならと、その足でトニーの馬車屋まで廃棄予定のモノがないかと尋ねに行く。


「トニーさん、おはようございます」

「おう、アレンか?あはよう。こんな朝早くからどうした?」

「廃棄予定の馬車や荷車がないかと思いまして。もしあれば譲ってほしいなと」

「馬車も荷車も廃棄予定なのはないな。荷車ならミゲルのところにでも聞きに行ってみたらどうだ?」

「ミゲルさんは荷車も取り扱ってるのですか?」

ミゲルとは初老に差し掛かったぐらいの大工の棟梁だ。

「いや、アイツのところは工具はちゃんと手入れするけど、それ以外は大雑把な奴等が多いみたいでな。確か…今使ってる荷車の1台がボロボロだった気がするが…」修理するか買い替えるかはアイツら次第だけどな、と付け加えて一番手に入りそうなところを教えてくれた。



アレンはトニーのもとを辞去するとミゲルの家に向かう。するとミゲルの奥さんのフランが出迎えてくれる。



「フランさん、おはようございます。ミゲルさんいてます?」

「…あら、アレン?おはよう。こんな朝早くからどうしたの?

ミゲルなら材木屋に寄ってから行くって言ってたから、材木屋に居るはずだけど…。もしいなかったら…確か今日は西の教会のそばでお仕事してると思うわよ」

「ありがとうございます。とりあえず材木屋から行ってみますね」

アレンは軽く頭を下げるとそのまま材木屋に向かって走り出す。

アレンとしては材木屋でミゲルを捕まえる方がなにかと都合がいいのだ。




材木屋の前まで来ると、丁度ミゲルが荷車に材木を運び終え、現場に向かおうとするところだった。アレンは要件を済ませようとミゲルを呼び止める。


「ミゲルさん、おはようございます。ちょっといいですか?」

「…おう、アレン、おはよう。…どうした?」

アレンは一言二言で簡単に済む質問なので対して気にはしてなかったが、ミゲルとしてはこれから仕事なのに、わざわざ朝から来る用事というのが気にかかり怪訝な表情を浮かべる。

「…ぃぇ。…その…廃棄予定の馬車か荷車でもないかな?と思いまして…」

「ん?…もうボロボロで捨てようか迷ってる荷車ならあるぞ?」

「もし、捨てるなら譲って貰えませんか?そこまでは出せませんが、まだ使えるなら多少なら出すことも出来ます。…もし修理するとかなら諦めますけど」

「ぅん~…。まぁ…いいか。ボロボロのでよかったらいいぞ?もし早く欲しいならフランに言って出してもらえ。今度でいいなら都合のいい日を教えといてくれたら出しとくが」

「一応今から行ってフランさんに聞いてみます。もし、フランさんに予定がなければそのまま出してもらって持って帰りますね」

「おう、わかった。要件はそれだけでか?」

「それだけです。あっ、おいくらですか?」

「ん~。ボロボロだから別にタダでいいぞ」

「ありがとうございます。朝の忙しい時間に呼び止めてすいませんでした」

「それじゃあ気をつけてな」

そう言うとミゲルは荷車を引いて西の教会のほうに向かっていった。僕は昨日大まかに考えた量の木材を買い込んでから荷車をもらいにミゲルさんの家へと行き、フランさんに事情を説明して荷車を受け取って帰ることにした。


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