2話 これからのこと
森からの帰りの道、1台の馬車がアレスの横を追い越してく。
「馬車とまでは言わないけど、なにか乗り物あればな…」と、ふいにつぶやきながらも考えを振り落とすようにゆっくりと頭を振る。
「馬車以外なら馬か?騎乗スキルもないのに」と、自嘲気味に笑う。
一応スキルというものがあるとは聞いているが、ここでいうスキルとは技術のことだ。
ある一定以上の鑑定が出来るスキルを持っている人が他人の技能習熟度を視ることができると聞いたことがあるが自分の周りどころか、この街にもいないらしいのでどこまで本当のことかは分からない。
「師匠、ただいま戻りました。あと、今日もホーンラビット1羽捕れました」
アレスはきちんと鍛錬等も行っているので薬草や茸を採りながら襲ってきた魔物も倒す。その中には食べることは出来ないが子供ぐらいの大きさの緑色の肌を持つ小鬼族のゴブリンや額に2~30cmほどの角を持つ兎、ホーンラビットみたいに食べられる魔物も存在するし、ボーンラビットを仕留めた時は晩御飯が少し豪華なったりする。
「おかえり、よくやったなアレス。あまり奥まで行くとウルフとかいるから気を付けるのだぞ」と、労いながら師匠はホーンラビットを使った晩御飯のことを考える。
「師匠、まだギルドの方の薬草って少ないんですか?」
「最近は新人の冒険者が少ないのか薬草採取の依頼受けるのが少ないってきいてるからのぉ」
「薬草採取って常設依頼ですよね?それなら普通森に入ったついでに採取するのではないのですか?」
「前まではそうだったのだが、最近はあまり薬草を納品するものがおらんくてのぉ」
「新人も薬草採取だけではやっていけないってことですかねぇ?」
「採取してきても間違ってたりして納品するのに数が足りないってことが多々あるらしいのぉ」
「えっ?薬草の見分けもつかないのに森に行ってるんですか?」
「ギルドに資料とか置いてあるのに最近の新人はあまりチェックせずに行くらしいのぉ。それで間違えて持ってきては揉めて採取をやらなくなるらしいのぉ」
「それで冒険者ってやっていけるのですか?」
「討伐依頼で日銭を稼ぐだけは出来るのではないかのぉ。ランクは上がらんじゃろが」
そんな話をしつつ晩御飯を作るっていると、なにかを思い出したかのように師匠が聞いてきた。
「そういえばアレスも来年12歳だったかのぉ?これからどうするかは決めてるのかのぉ?」
「これからとは?」
「今のままここで働くもいいし、12歳になれば冒険者ギルドに登録もできるし、試験はあるが王都の学院にも行けるじゃろ?」
「今はここでお世話になってますけど、元々孤児ですし、学院はお金がないから無理ですよ。冒険者は……まぁここ半年は冒険者と言っても変わりない毎日を過ごしてますけどね」
アレスは自嘲気味に言いながらも答える。
「ポーションの売り上げもそこそこあるし、貯えもそこそこあるじゃろ?それにこれからもポーション作り続ければそこそこ貯まるじゃろ?マーサとも相談していたのじゃが、今のアレスなら勉強もそこそこできるし大丈夫じゃろて」
マーサとは僕がお世話になっていた孤児院の中老の院長先生のことだ。ちなみに師匠とは幼馴染らしい。
「そもそも学院っていくらぐらいかかるのですか?今の貯えはお世話になっているので全て師匠や孤児院に渡すつもりだったのですが」
「学院は試験に銀貨1枚で受かれば金貨1枚だな。一応1年毎に大銀貨4枚ということもできるが。それと、そのお金はアレスのものじゃから自分のことに使うのがいいぞ」
そんな話をしながら食事を終え、自室に戻ってこれからのことを考える。
***************
お金
石貨 1ギル(ほぼ使われない)
銅貨 10ギル
大銅貨 100ギル
銀貨 1.000ギル
大銀貨 10.000ギル
金貨 100.000ギル
大金 1.000.000ギル
白金貨 10.000.000ギル