プロローグ
それはある日、前々から放送で伝えられていた通りこの 惑星の北半球の各国で空に巨大な隕石が確認された。
「もぅ、この星も終わりね」
「40kmの隕石なんか逃げる場所もないな」
「(直撃すると分かったのが)1年が例え5年前でもどうしようもないもんね」
「まぁ実際に発表されたのは3か月前だけどな」
「暴動を起こそうが悲嘆に暮れようが未来はないしね」
「でも、この国の人はほとんどの人がそれ以前と変わらない暮らししてたみたいだぜ」
「犯罪とかに手を染めた後のことを考えると隕石が逸れた場合とか、なんとかなった場合は凄く生きにくいことになるもんね」
「政府や学者も軌道とかすべてを計算してから発表してるだけあってそんな都合のいいことはなかったけどな」
「まぁ北半球に来るのは分かってたから、一部の人は南半球に移住したみたいだけどね」
「隕石の衝突による衝撃波で地面は割れて、海が沸騰して、それに耐えても核の冬みたいになるんだろ?」
「苦労して苦しんで死ぬか、楽に死ぬかの違いかしら?」
「はは‥‥。違ぇねぇ……」
この3か月、みんな思い思いに好き勝手言い合って最後のこの日を迎えた。
実際、隕石の衝突の影響でこの星の約8割の生物が死滅し、残りも大量の煤煙や塵埃が大気圏内に吹き上げられ、これが太陽からの光線を吸収し、この星全体の気象に影響を及ぼし、内陸部の広い地域で長期間にわたって異常な低温状態が続き、生き残った生物もほぼ死滅するに至った。
その落ちてきた隕石からは元々この星になかった生命体が存在した。そして、その隕石の衝突のせいか、はたまた、その生命体のせいかは分からないが、後に魔素と呼ばれる素粒子が認知されることとなった。
新しい生命体は生き残った既存の生命体の核酸と結びつき、新たな種 を作り、人種も動物も魔素を使う術を覚え、お互いにそれを糧として生き残り、なんとか絶滅することは免れた。