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復讐の転生者 ~仲間に殺された男は、かつての仲間の息子となり復讐を決意する~  作者: 白い彗星
第7章 人魔戦争

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懐かしき再会



「う、ん……」


「あ」



 今後の魔族の襲撃……それに備えようという話になったところで、小さな声がした。


 今の今まで眠って……いや気絶していた、ノアリのものだ。うっすらと目を開け、それにいち早く気がついたミライヤが、声をかけた。



「ノアリ様! 目が覚めたんですね!」


「あ、れ……ミライヤ? わたし……」



 起き上がろうとするノアリを、ミライヤはそっと支える。


 起きたばかりでぼーっとするのか、頭を押さえている。



「大丈夫ですか?」


「うーん……なんだか、お腹がズキズキする。なんでだろ」


「……」


「……」



 腹部の異変を訴えるノアリ。俺とクルドは、とっさに顔をそらした。腹部のズキズキに、心当たりがあったからだ。


 だが、黙っているわけにもいかない。やがて、クルドが口を開いた。



「すまない。やまれぬ事情があったとはいえ、少々やり過ぎたかもしれん」


「え……うわぁぁぉあ!?」



 突然の第三者の声に、ノアリは悲鳴を上げる。だがそれは、恐怖ではなく驚きによるものが大きい。


 いいリアクションするなぁ。



「……って、クルド……?」


「! 覚えているのか?」


「当然! 恩人の顔を忘れたりなんかしないわよ。懐かしいわねぇ」



 落ち着いたところで、ノアリはクルドを認識したようだ。しかし、いくら恩人とはいえ、もう10年も前のことなのにな。しかし、当時のノアリは不調だったし。


 それだけ義理堅いということか。それとも、クルドの顔は忘れられないほどに印象深いということか。


 まあ、竜族だしな。



「あれ、でもなんでクルドがここに……あ、ヤーク」


「今かよ!」


「え、え? これどうなって……そうだ、魔族! あいつらはどうしたの!?」



 頭を整理すると同時に、徐々に気絶する前の記憶がよみがえってきたようだ。


 魔族が現れたこと、魔族と戦ったこと……それは、覚えている。問題は、どこまで記憶が残っているかだ。



「ねえ、説明して! なんか、記憶があいまいで……どうなったか、知ってるんでしょ?」


「……ヤーク」


「あぁ」



 ノアリには、現状をはっきりと把握してもらう必要がある。……そして、その身に起こった出来事も。


 ミライヤには先んじて軽く説明はしていたが、改めて2人に説明するとしよう。



「実は……」



 俺は、すべてを話した。ノアリがみんなのために剣を取り魔族と戦ったこと、その最中から竜族の血が覚醒し始めたこと、ほぼ暴走状態にあったこと、魔族が去っても止まらなかったこと……


 そして、ノアリを止めるために俺が立ったが歯が立たなかったこと、クルドが助けに来てくれたこと……すべて、包み隠さずに。



「……竜族の……血……?」


「すまん。我らの血のせいで、お前に苦労を……」


「あ、ううん。その血がなかったら死んでたかもしれないんだから……恨み言とかは、ないのよ。ないん、だけど……」



 自分の身に起こった出来事に、思うことがないわけではない。竜族の血がなければ死んでいた、だが竜族の血の影響で暴走した……


 そう簡単に、割り切れるものでもないだろう。



「私が……ヤークを、殺そうと……」


「いや、気にするなって。こうして生きてるわけだし」



 本人としては、誰かを殺そうとしたこと……が、こたえているのかもしれない。俺だって、自覚のないうちに親しい人間を殺そうとしたって知ったら……


 ノアリにとって、難しい問題だろう。



「……あ……なんか、ぼんやりと……思い出して、きたかも……」



 青ざめていく表情を隠すように、俯くノアリ。今なにを思っているのか、推し量ることは出来ない。が、想像は出来る。


 人を殺そうとした……いずれ覚悟が出来ている俺とは違って、ノアリは……



「大丈夫、そんな思いつめるな。……って、こんなん気休めにもならないよな」


「……」


「けど、あの力がなかったらみんな、魔族にもっとひどい目に遭わされていたかもしれない」



 責任を感じているノアリだが、実際に俺やクルドは気にしていない。気にする必要のないことだ。


 それに、あの力のおかげで、魔族は撤退した。……正確には、撤退するまでの時間を稼げた、だが。



「ヤーク……」


「うん、前向きに考えようぜ」



 ただ、気になることもある。次なる魔族の襲撃に備えて、ノアリのあの力がまた必要になることは明らかだ。


 問題は……またノアリがあの力を使ったとき。同じように暴走しないか、だ。

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