プロローグ1
やあ、こんにちは。今日は、私の身の上に起きたちょっとヘンなお話をするね。
いきなりなんだって?自己紹介を忘れていたね。
私は三上小鳥。アノ世界では永遠の15歳。アノ世界ではね。
あの頃の私は、もうこの世界の全てに生きる希望を見いだせなくて、何事もなげやりだったっけ。
あぁ、うん、今はそこそこに幸せだよ。
頭悪くて運動もできなくて、自分に自信がなくて暗いから友達も当然ゼロ。好きな人とくっつけるなんて夢のまた夢の話でさ。ほら、男子って自分よりカースト下の女の子と付き合おうなんて思わないじゃん?
なんでこんなのが幸せになれたんだろって考えたときに、やっぱあの人の存在が強かったんだと思う。正確には人ではないんだけど。
こんなのだったから、人生に悔いはなかった。べつにいつ死んでも良いって思ってたんだけど、ほんとに起きちゃったんだよね。
交通事故だった。
信号無視のトラックにばーん。ってね。
一瞬に感じられたな。
よく、死ぬ直前には走馬灯を見るっていうけど、私にそんなものはなかった。空っぽの15年間だったからなのかな。
走馬灯は見なかったけど、トラックにぶつかって身体がは跳ね上げられた一瞬の間に、ああ、やっぱ悔いは無いんだなって冷静に考えたのを未だに憶えてる。
私に駆け寄ってくる男性の姿、血だらけの私の周りに大きな空間が出来ていく光景が自分の血で真っ赤に染まっていく視界に塞がれて、だんだん見えなくなっていった。