表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

第一話 二人の出会い

「聞いて…私は………」


……………………………………


「あー疲れた…」

どこにでもいそうな感じの茶髪男がため息をつきながら木にもたれかけた。


彼の名はカゲル。背中に大剣を背負っており、モンスターとの戦闘はある程度経験している。とはいえ、まだ技と呼べるものを何も覚えていない上に、肝心の肉体面もそれほど強いわけではない…いや、かなり弱い。手頃なモンスター狩りや、街のギルドから受けた依頼でお金を稼ぐことで生計を立てているが、1食分の食べ物を買えるだけのお金を稼いだら大抵は体力切れを起こしてしまう…


「今回の依頼の報酬が1500ミルス…これなら宿代を引いてもさらに3食分ほど買えそうだな」

彼にとって1日3食は夢のような話だった。

「しばらく仮眠してから宿に戻るか…」

そのまま座って寝てしまった…


…ツンツン

「ZZZZZ…」

横から誰かがカゲルの肩をつついている。だが、カゲルは爆睡していて気づかない。

「…」


ーしばらくしてー


「あーよく寝た…ん?」

「起きやしたぜ兄貴!」

「へ!?」

本来寝起きはぼーっとするものだろう。今のカゲルにできるわけがなかった。明らかに人相の悪い男が5人、彼の周りを囲っていた。

「おう兄ちゃん、金出せや!怪我するぜ?」

5人の中で最も屈強な男がカゲルの胸ぐらを掴み、脅迫してきた。

(こ、こいつら、最近街を騒がせている盗賊団じゃねーか!)

カゲルの頭には、「盗賊団をつかまえてほしい」というギルドの依頼が浮かんでいた。コイツらを倒せばさらに報酬を得られる。逆にチャンス到来!?

(こいつら、俺が大剣を持ってることに気付いてないな!?)

「あんたらさぁ、カツアゲする相手を間違えてるぜ?」

カゲルが大剣の持ち手を握り、勢いよく前へ構える。

「…あれ?」

構えた剣を見て、カゲルは目の前が暗くなった。さっきの依頼中まで使っていた大剣が、途中の部分で折れていたのだ。さっきの木にもたれた時の衝撃のせいだろうか?

思えばこの大剣、購入してから今まで一回も手入れをしてないのだ…だって一日の生活費を稼いだらもう体力が無くなって宿のベッドに一直線なのだから…

「おい見ろよ、コイツこんなボロボロの剣持ってやんの」

盗賊団も流石にこんな剣にビビるわけがない。一応刃の部分が残っているから当たれば切れるだろうが…奴らは全員腰に短剣を身につけていた。しかも5人いるし勝てるわけがない…

「このお金を渡すしかないのか…?」


…ツンツン

誰かが盗賊団の一人の腰をつつく。

「…あ?」

振り返ると、そこにいたのはまだ幼い少女だった。カゲルにもその少女が目に入った。10歳くらいだろうか?彼女の着ている服はところどころ敗れていた。


(この子、この状況でなんで…?)

「あ?なんだコイツ?」

「おい、テメェ臭えぞ!ちゃんと体洗ってんのか!?」

たしかに、少女から妙な異臭が漂っていた。明らかに何日も風呂に入っていないような匂いだ。

(ん?この匂い、少し前にも嗅いだような気がする…)

少し前というよりついさっきである。カゲルが爆睡している時に彼をつついたのも彼女なのだ。爆睡していてもわかるくらいに強烈な匂いが、カゲルと盗賊団の元にただよった。


「あっち行けやクソガキ!」

「……」

少女は何も喋らない。だが、離れようともしない。

「ちっ…こんな匂いのところに長々といれねーよ。おい、はよ金出せや!どうなっても知らんぞ!」

「…!」

少女はカゲルの前に立った。カゲルを守ろうとしているようだ。

(えっ、なんで?)

「ちっ…お前ら、諦めるぞ」

盗賊団は結局何も取らずに去っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ