5-5.オークの敗走、そして追跡開始。
「これで、この戦いの趨勢は決したな」
向かってくるオークをぺしぺしと手のひらで叩きながら、ジンが言う。
その脇で、レヴィアタンが数体のオークに押し倒されていた。
ジン達とは裏腹に、その形相は必死のそれである。
「ひぇぇ!そういえばこいつらと同じで我も能力リセットされたわけだから、力を失った同士で実力が拮抗している!あわわわ数で押されてるぅ!
このままだと筆舌に尽くし難い事をされる!いやらしいこととかいっぱいされてしまう~~~~!!」
「ま、まずい!それは倫理的にまずい!今助けるぞレヴィアタン!
っていうかこれはもうエルフ達を呼ぶしかない感じだな、皆さんご登場!」
ジンが大声を上げた次の瞬間、集落を囲う林の陰から他のエルフ達が次々と飛び出してくる。
ジン達とは別に、集落の周りに待機していたのだ。
「我々も加勢するぞ!」
俄然増えてきた敵に狼狽えるオーク達。
「こ、こいつら三匹だけじゃなかったのかよ!?どんどん来る!」
「やべェ!」
乱闘の開始を宣言するように、へニュが冷ややかに言い放つ。
「このまま大人しく帰ってくれればよかったものを……そっちから手を出してきた以上、こっちもも容赦しない。
―――とはいえ、それはそれとしてみんな相手を殺さないこと!」
「「「「分かった!!」」」」
それから、エルフによるオークの蹂躙が小さな集落で繰り広げられた。
ある者は卍固め、あるものはコブラツイスト、あるものはパロスペシャルなど多種多様な関節技により一方的に嬲られるオーク達。(どこで覚えた。とはジンの談)
最早自分達に勝ち目がないことを完全に悟った連中は、どこへともなく一斉に逃げ出した。
「ちくしょおーー!」
「もうやめだやめ!こんなことやってられっかボケェ!」
それに、逃すまいと追いかけようとするエルフ達。
「あ、逃がすか!ここで全員殺してやる!(殺さないけど)」
が、それをジンが制止する。
「いや、このまま逃がそう」
「どっ」
「どうしてっ?」
「俺にとってもあいつら魔物は敵であり、こっちにだって目的がある。だからあんたらエルフとも共同戦線を張ったんだよ。こっからは俺がその目的を果たす番だ」
「目的……」
聞き返してくるへニュに、彼の代わりにレヴィアタンが応える。
さっきオーク相手にいろいろいやらしいことをされかけていたことには誰も触れない。
未然にジンが助けてくれて事なきを得たのだし、本人的にもさっさと忘れることにしたのだろう。
「そもそもあのオーク共はこの世界に元いた存在ではない。かつて《魔界》より現れた悪しき精霊なのであろう?この我もいうなれば奴らと同じ悪m」
「 レ ヴ ィ ? ? ? ? 」
「われただのひと、おーけー?……えーっと。そしてそれが、かみさまとそのなかまたち(棒読み)の手によって一度《魔界》に押し返された。
となると、今回再び現れたオークは一体何処からより来たというのか?」
そこまで聞いて、へニュにも合点がいった。
「……そうか、《魔界》から戻ってきた!なら、向こうからこの世界に来るための通り道があるはず。
オーク達を無力化したとしても、通り道が残ったままだと、また別の脅威がやってくるかもしれない。
奴らが戦いを放棄し逃げ出して向かう先があるとしたら、その通り道しかない。となれば、逃げた連中の後を追えばこっちもそこにたどり着く!」
「左様、へニュは賢いな!飯も美味い上に賢いと来た!」
「いやぁそれほどでも、ふへへ」
照れるへニュにジンが続ける。
「へニュは賢くて飯が美味いなぁ!(追い打ち)……で、俺達はその通り道―――《魔界》への門を閉じるために旅をしてるんだよ。
もう二度と開くことがないよう完膚なきまでに!
もう二度と開くことがないように!(強調)
誰かが貧乏くじ引かされないように!(重ねて強調)」
そうことならば、とエルフ達も納得した様子だ。
「それじゃあ、オーク達に気づかれない程度に追跡しましょう。……ところで、門を閉じるのが目的ということはその方法もちゃんとあるんですよね?」
「そりゃ勿論。けど、その方法はあんたらエルフが持ってる」
「……というと?」
不可解そうに首をかしげるへニュ。
「あんたらはゲームを(正しくはそのイベントのひとつをだけど)最後までクリアした。勝者になったんだ。
勝者には名誉と一緒に景品が与えられるものだろう?オーク達を追跡してる間に説明するよ」




