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4-8.サーバー(?)対抗イベント攻略!



 その言葉と共に、今度はエルフ達の手元にもスマホが召喚された。


「いや、ちょっとっ?」

「おいヒューマン!」


 慌てふためくエルフ達を尻目に、ジンは大声で宣言する。


「それでは、ルールはこうだ!オークとエルフ、それぞれ同人数にゲームをプレイさせ別々のサーバーでイベントを攻略させる。

 (サーバーがどこにあってどうやって管理するのかは俺も知らんけど)

 そして先に【魔狼フェンリル】を撃退した方が勝利!

 オークが勝てば、エルフと言わず俺のこともどうぞ煮るなり焼くなり好きにするといい。エルフが勝てば……そうだな、その時はどうするか後で考えておくよ。

 そしてもしどちらもイベントをクリアできなければ、全ては振り出しに戻る!俺達はこのまま帰るから後はあんたらで勝手にやってくれ」


 これは、エルフにとっては信じられない展開だった。


「何言ってるんだよヒューマン!」

「やっぱりこんなヤツ信用するんじゃなかったわ……」


 急転直下。突然の事態に彼らは混乱しきっている。

 一方オーク達としては、意外なほどの好条件を取り付けることができた。

 エルフがこのクソゲーをクリア出来るというならばともかく、例えクリア出来なくても『何もない』。プラスもなければ別段マイナスもないのだ。

 そのまま何事もなかったようにエルフを襲えばいいだけだ。


「グハハハハ、見ろよ連中のあの顔、いい気味だ。せいぜい俺らと同じ苦しみを味わいやがれ!」

「とはいえ俺らがクリアしたらしたで、あのクソムカつくヒューマンもぶち殺せる。プレイ続行だ、やってやる!」

「攻略法はあるはずなんだ。とりあえずまずはヤロウの言った通りキャラの育成だ。そもそもまだ全然パーティの火力も体力も足りてねぇ!」


 すぐさまプレイを再開するオーク達。

 思い思いにゲームをプレイしながら、その絶妙な不便さに野次が飛ぶ。


「【経験値クエスト】でレベル上げ……いやふざけんなよ【スタミナ】が切れてクエストに出撃出来ねぇ!」

「5分でスタミナ1つ回復?いや【初級】ですらクエスト一回に20使うんだぞ!最高効率の【特級】なんて倍の40だ!

 一回出撃するのにどれだけ時間かかるんだよボケェ!」

「今日はもうほぼ一日何もできねぇってことか!?なんだよそれ『虚無』じゃねぇか『虚無』!ゲームじゃなくてこれじゃ『ゲー無』だ!!」

「いや待て、【虹色石】を使うとスタミナが全回復するぞ!」

「そもそもなんだよその【虹色石】ってぇ!」

「ゲームを始めた時にちょろっと貰っただろ!後メインクエストを攻略した時も手に入るアレだ!」

「コンティニューにも使うみたいだし、いろいろと用途は多そうだな」


 とはいえ、自分達の進退がかかった一戦だ。真剣に攻略を進めている。

 それを見て、エルフ達の尻にも火がついたようだ。


「ま、まずいわ。私達もこれを攻略しなくちゃ」

「あぁもう、何でこんな目に……」


 オークとエルフ。互いが互いに黙々とゲームをプレイする。

 異なる種族の軍勢が対峙しているのに、誰も相手に見向きもせずにひたすらスマホの画面を眺めている。

 これはなんとも不気味というか『現代の闇』というか、そんな光景だった。


 そんな中、集落の方から一人のエルフがやってきた。

 へニュだ。彼女もこの場に合流してきたらしい。

 しかしその目元には深い隈が刻まれており生気がない。

 大きく開かれた口からは、しきりにあくびが出ていた。


「ふぉあぁ~~~~~。ふあぁ~、ほぉぉあぁ~~~……。

 ……ふすぅぅ、ふぉぉああぁぁ~~~」


 しきりにというか、最早あくびしか発していない。

 彼女の到着を歓迎するジン。


「お、ようやくご到着か。遅かったじゃないかへニュ」

「昨日はずっとゲームしてたから、寝不足なんですよ……。あれ、っていうかみんなしてスマホ弄ってどうしたんですか?もしかしてゲームしてます?」

「そうそう。へニュがプレイしたのと同じ奴だよ。今オークとエルフの対抗で【魔狼フェンリル】を討伐しててな。

 エルフが勝てばオークはもうあんたらには手出しできない」

「【魔狼フェンリル】?。あぁ、それならワタシ難易度【HARDCORE】4ターンでクリア出来ますよ」


 その発言を、仲間のエルフ達は聞き逃さなかった。


「え、【HARDCORE】!?っていうと、あの最高難易度を!?」

「一体どうやって……しかも4ターンってことは、一回【フェンリル】の必殺技も受けてるってこと!?」


 同時に、レヴィアタンが何かを察したように額に手を当て頭を抱えた。


「なるほどこういうことか。ジンの奴やっぱりろくでもないこと考えておった……」


 昨晩のあれはそういうことだったのか。

 改めてジンから詳しい事情を聞いたへニュ。


「なるほど、状況は中々切羽詰まっていますね。となると、これは効率重視のプレイをした方が良さそう。

 みなさん、これからワタシが説明する通りにしてください。

 そうすればこんなイベント、すぐにでも完全攻略してその内やることなくなって誰もイベントページすら見向きもしなくなりますよ。」

「そうなのか!?」

「それはそれで何か虚しい気がするけど……」


 昨日から一晩中ゲームをプレイしていたへニュは、すでにある程度攻略法を把握しているようだ。

 これからそれを、仲間達に伝授しようというのだ。


「ジンよ、汝の狙いはこれだったのだな。先にプレイしてゲームを熟知した者が、他の者を教え導く」

「その通り!ソーシャルゲームの『ソーシャル』ってのはつまりはそういうこと。多数の人達が情報を共有してみんなでプレイする。

 ゲームそのものではなく社会的な交流に重きを置くのも立派な楽しみ方なのさ」



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