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4-4.戦争反対!ラクして勝ちたい!



「え?」


 戸惑うへニュ。


「戦争をしたことない人達が、戦争をせずに物事を解決しようっていうのは大事だ。俺だって人を殺すのと殺さないのだったら、後者の方がいいね。

 だってその方が気が楽だし」


 『気が楽』。

 その発言で、話の内容が一気に軽くなった気がした。

 へニュも思わず苦笑を浮かべる。


「あは、あはは……そう!そうなんですよ、気が楽なんです!

 だってワタシ、自分で狩った獲物を頂くのでも『かわいそうだな』って思いながら、それでも生きるためだと割り切って食べてるんですよ。

 それなのに、仮にオークをみんな殺して生き残ったとして、手にかけた方達のことを意識しながらこの先生活していくなんて辛いに決まってますよね?

 イヤですよワタシそんなの!」

「絶対殺した相手の顔がトラウマになって夢枕に出るって、PTSDになるよなぁ」

「いやその『ぴぃてぃえすでぇ』とかいう言葉はわからないですけど……。

 とにかく戦争反対!話し合いだけで解決したい!ラクして勝ちたーい!自分が苦しむのを相手が苦しむのを見るのもやだ!」

「『ラクして勝ちたい』!いいねそれ、俺の座右の銘にするわ!」


 いつの間にやらやけに意気投合しているジンとへニュ。

 その姿を呆れ顔で眺めているレヴィアタン。


「要するに自分の身がかわいいだけではないか。

 我から見ても結構なクズだぞ汝ら」

「『やさしい』って言えよ。へニュはやさしい子だ、俺と同じだな!」

「 は ? 汝に優しさを感じたことないなぁ我は。だがへニュは確かにやさしいな、飯も美味いし」

「あ、それはどうもどうも」


 照れるへニュ。


「よかったな褒められたぞへニュ。そして俺はそんなへニュと同じやさしいしい発想を持ってるから、この能力を手に入れたのさ。

 相手を傷つけず、決して殺さず。その上で完膚なきまでに打ち負かして言うことを聞かせると~~っても便利な能力をな!」

「あ!クソっ、そこからその話に持っていくか汝は!ホントにムカつくなその能力で我にどんな仕打ちをしたか分かっているのか言ってみろ!」

「分からないから言いませ~~ん」


「能力?ヒューマンが使う魔術のことですか?」


 へニュがジン達の話に俄に興味を持ってきたようだ。


「『魔術』ねぇ。やっぱこの世界にもあるんだな。……よし。食事も一段落したことだし、いい機会だ。へニュにもこれ貸してあげるよ」


 そう言ってジンはへニュにあるものを手渡した。

 スマートフォンだ。


「実を言うと、それが俺の能力。ゲームだよ」

「げ……げぇむ?」


 手渡されたスマホの画面には、あるゲームアプリのタイトル画面が表示されていた。


【ENDLESS STORIES】


「そうだ。興味があるなら少し遊んでみるといい。ほら、そこに書いてあるだろ?【PLEASE TOUCH】って」

「………………」


 言われるがまま、そしてログイン画面の表示に促されるまま画面を指でつつくへニュ。

 それから、ゲームのチュートリアルが始まった。

 表示される指示に従って、次々と内容を進める。

 その様子を、ジンは静かに見守っていた。

 そしてそんなジンを、不可解そうな顔でレヴィアタンが眺めている。


「随分とそこな娘に入れ込むではないか。どういう風の吹き回し―――」


 言いかけたところでレヴィアタンは、ジンの口元が怪しく引きつっていることに気づいた。

 すでに彼らをもてなすのも忘れてゲームにのめり込みつつあるへニュを、にたりとした笑みで見つめている。


「(あ、これ絶対何か企んでるヤツ!こいつこの娘をダシにして利用する気だ。やはりろくでもない奴だな!)



        ※※※



 その日の夜は、破滅へのカウントダウンを聞くエルフ達にとっては、もう二度と来ないだろうと思っていた穏やかな時間となった。

 が、それも長くは続かない。

 一晩が過ぎ、朝日が昇り始めて間もないまだ薄暗い時分、その報せは衝撃と共に集落を駆け巡った。


「オークだ!奴らまた攻勢をかけてくるつもりだ!」


 夜間の警備にあたっていたエルフが、慌てふためいて戻ってきた。


「今回はとんでもない数だ!すでにこの集落を取り囲んでいる、暗い内に密かに包囲していたんだ!いよいよ俺達のことを皆殺しにするつもりだ!」



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