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3-8.出発



 急降下する竜の背に乗って、ジン達はなんとか地上へと戻ってきた。

 が、【ファフナー】の方はそろそろ限界のようだ。その身体はすでに半ば消え始めている。


【潮時か、いい加減吾輩は帰るぞ】

「もうお別れか、なんだかあっという間だな……」


 背中から地面に降りたレヴィアタンもどこか寂しげだ。


【吾輩はこのままあるべき世界に戻る。だが、攻略者プレイヤーに呼ばれた記憶はこの頭の奥底に残るだろう。必要であればまた呼ぶが良い。

 その時は、再召喚の費用はきっちり請求させてもらうがな】

「あ~、だったらもう遠慮しとこうかな」

【 お い ? ……まぁ良い。会おうとするだけならいつでも会える。吾輩と貴様らの世界とて、繋がってるのだからな】

「ゲームを通して、か……」

【左様!フハハハハハハ】


 そう言い残して、ついに【ファフナー】の身体は完全に消えてしまった。

 後に残るのは、何事もなかったかのような丘の静けさだけだ。

 いつまでも寂寞の思いを抱いているのをやめ、気持ちを切り換えるレヴィアタン。


「なんにせよ、これで《魔界》の門を閉じること自体は可能ということは証明されたな」


 その言葉にジンが続く。


「とはいえ、まだこの世界には健在の門がいくつもあるはずだ。

 なにせ魔物共がこっちに戦争を仕掛けて侵略してくるぐらいだ、その経路がひとつだけなんてことはあり得んだろう。そうだよなレヴィアタン?」

「まぁな。

 我は自分が通った門しか知らんが、他にもあるのは間違いないだろう。

 そしてそれらももう開いているかもしれんし、まだ開いてはいないかもしれん。

 すでに我のようにこの世界に来ている悪魔が他にもいるというのもあり得る」

「なら、俺の目的もこれではっきりとしたな」


 世界各地にある《魔界》の門を探し出し、それを破壊して閉鎖し魔物共の侵略を阻止する。

 こればかりは、レヴィアタンに『他の門はどこだ』と聞いても、彼女にだって分からないだろう。自分の眼と足で見つけ出すしかない。


「あんまりもたついていると、下手すりゃ悪魔がどんどん溢れ出てくる。大変な使命だなこれは」

「しかしまぁ、門を壊せることは確かなのだ。見つけさえすれば後は今回みたいに【ファフナー】を呼んで……」

「あぁ、それなんだが。実はもう一つ説明し忘れたことがあって」

「またか汝はァ!」

「【ファフナー】はもう呼べないぞ」

「えぇ!なんで!?」

「正しくは、()()もう、だな。俺の能力で召喚出来るクリア特典は、一回限定なんだよ。一度役目を終えると二度目はない。

 あんたの容姿アバターについては、ゲーム内では基本永続するから消えたりしないけど、『戦闘中一回だけ』とか、明確に使用期限があるものはそうもいかない。

 そういうわけで【ファフナー】をもし再召喚したいんなら、もう一回ゲームをクリアするしかないな」

「もう一度か……」


 もう一度あの神ゲーをクリアする。


「それはむしろ望むところだが、なんだかんだ言ってアレも大分ボリュームがあるからなぁ……。

 全てのイベントをスキップして最大効率でプレイして、飲まず食わずの寝ずでも丸二日、下手したら三日はかかる」

「RTAかよって話だな。若干コスパが悪い」

「なんかまた聞き慣れん言葉が出てきたが……」


 門を一つ壊すのに数日かかるというのはどうもまどろっこしい。

 他に何か便利な方法はないものかと思案するレヴィアタン。


「あ、そうだ。汝がすぐに終われて、その上強いキャラが実装されているゲームを作ればいいではないか!

 1ターン限定とか制約もなく、永久に何度でも使えるヤツをだ」


 という提案だったが、それもジンはにべもなく却下した。


「それは無理だ。俺自身が作るゲームにはクリア特典は存在していない。

 俺に出来るのはあくまでクソゲーを作って遊ばせて、クリアできないヤツに罰則を与えるだけ」

「なに?他人をネガティブにするしか出来ないってか、最低だなそれ!」

「しょうがないだろ、そこまで便利な能力じゃないんだこれは。それに、俺だけで次々ゲームを作っちまったら、せっかくの神ゲーの数々を遊ぶ機会がなくなる。

 強くて頼もしいキャラは【ファフナー】以外にも、他のゲームにたくさんいる。これからはそいつらのこともどんどん頼ろうじゃないか」


 他にもいろいろゲームを遊んで、多くのキャラやアイテムを利用しろということか。

 それもそれで心が躍る響きである。


「なるほど面白そうだ!そうでなくてはな」

「モチベーションってやつだよ。折角世界を救うんだ、楽しい方がいいだろ」


 さて、ジンもこの世界にやってきてからしばらく、身支度や情報収集も兼ねてレンビッツに滞在していたのだが、それももう終わりにする頃合いか。


「俺はこれからレンビッツを出発して各地を旅して《魔界》の門を探す。

 改めて聞くけど、あんたはどうする?」

「わざわざもう一度応える必要があるか?我は汝の協力者。同行しろと言うならついていくとも」

「そうか、それは良かったよ。これからよろしく頼む」


 かくして転生者 鍋島 神は、悪魔レヴィアタンと共に世界を救う旅に出る。



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