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3-4.【黄金竜ファフナー】



 次の瞬間、ジン達の眼前に、網膜が焼けるのではないかと思えるほどの眩い輝きが灯った。まるで地上の太陽、この場所が夜明けの発生点であるかのようだ。

 瞼を閉じてもなお差し込んでくるほどの光量に、思わず呻く。


「うわっ!我ながらいちいち光りすぎだろ!」

「大丈夫なのかこれ!?もっと眼に優しくしろ!」


 そして何も見えない輝きの中、声が聞こえてきた。


【貴様は、我輩に何を望むか……】


「この声……!」


 レヴィアタンが驚嘆を上げる。


【この身に宿りし黄金か。あるいはニーベルングに邪智暴虐の悪竜ありと謳われし我が力か。

……良かろう、望むならば見せてやる。これなるは世界をも呑むラインの光輝!】


 光が収束する。クリア特典召喚は完了したようだ。

 しかし、瞼を開いたジンとレヴィアタンの眼にはなお、目が眩むほどの輝きが今も色濃く映っている。

 金の鱗に陽光を反射させる巨大な竜がそこにいた。


「【黄金竜ファフナー】!本当に来てくれたのか!」


 あれから、レヴィアタンは例の神ゲーを最後までプレイし、ストーリーをクリアした。

 【黄金竜ファフナー】はそのゲーム中で戦うことになるボスの一体だ。今思い返してみればラスボスより苦戦した、作中世界における最強の存在のひとつである。

 【ファフナー】は激闘の果てに主人公達の手により敗れその身体は消滅し、蓄えていた世界を支配しうるほどの力を持つという叡智の黄金だけが残った。

 具体的に言うと莫大な量のゲーム内マネーである。

 しかし、あろうことか主人公は受け取った黄金マネーで竜の身体を復元し、あまつさえその身柄を買い取り召喚の契約を結んでしまったのだ。


 かくして【ファフナー】は主人公の仲間兼特殊コマンドにより使用できる攻撃手段になった。

 そのゲーム中での威力は端的に言って、『バランスブレイカー』である。

 敵全体に99,999,999のダメージ(ゲーム内における最大ダメージ)を与えるというなかなか頭のおかしい存在だ。

 とはいえ一度召喚すると再召喚するためには相当な量のマネーを要求される。

 そのため乱用すると慢性的な資金難に陥り最悪ゲームが攻略不可―――いわゆる詰みになるという諸刃の剣、金食い虫ならぬ金食いドラゴンだ。

 その上ボス戦など一部の戦闘では使えないため基本雑魚戦でのみの召喚になる。

 だというのに、そもそも雑魚戦では【ファフナー】を呼ばなくても普通に勝てるのでわざわざ高い金を払ってまで呼ぶ必要がないという完全な趣味の領域、俗に言う『ロマン砲』だった。

 とはいえ、ラスボス戦では威力は大きく落ちるものの無料で何度も召喚できるようになりちゃっかり活躍してくれるなど、なかなか憎めない金食いドラゴンだ。


 ―――それが今、ゲームをクリアした特典としてレヴィアタンの召喚に応じ、ゲームの世界を飛び越えて彼女の下に現れたのである。

 レヴィアタンは感極まって号泣した。


「あ゛あ゛あ゛あ゛~~~ホントに、ホントに我の眼前にいる~~~~!」


 なにせ数日ぶっ通しで(もちろん適度に休憩を挟みながら)プレイしてきた神ゲーの仲間キャラである。

 正直《魔界》での特に思い入れもない同族の悪魔なんぞよりも遥かにかけがえのない存在なのだ。


【ん?成る程、どうやら我輩はどこか異なる世界に呼ばれたと見える。となると、貴様はさしずめ新たなる契約者とでも言うか?

 ……いや、違うな。分かる、分かるぞ。他ならぬ貴様こそ、憎たらしくも我輩を打ち負かし、あまつさえ黄金で我が生命を買い占めた愚か者の攻略者プレイヤーか】

「そうだよ我こそがプレイヤーだよお゛お゛お゛~」


 どうやら【ファフナー】の方も自分がどのような経緯でここにいるのか理解してくれているようだ。

 ジンとしても、自分もプレイしたことがあるようなゲームのキャラが自分の能力で呼ばれて来てくれるというのはどこかむず痒いものを感じる。

 だが、かといってレヴィアタンのように滝のような涙を流して感激しているわけにもいかない。

 かの竜にやってもらわなければならないことがあるのだ。


「ほらレヴィアタン、そろそろ泣くのはやめよう。話が進まんだろう」

「うぅ……ぐす」



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