2-9.コントローラーは壊すな!
「まだ逝くなァー!戻ってこい!分かった、こうなったら俺もこのゲームをプレイする。これは『二人プレイ』が出来ると説明書に書いてあった。
コントローラーが二つあるのもそのためだ。アドバイザーの仕事ももう終わりだ、俺も戦うぞ!」
「男B……」(便宜上キャラの台詞を改変しています)
今まで観戦するだけだった男Bもコントローラーを握り、改めてゲームが再開される。
が、彼らの熱い友情はあっという間に悲劇へと変貌することになった。
「いやふざけんなよ敵の数が増えたんだが!?」
「これじゃとてもじゃないが倒しきれない、どんどん弾を撃ってくるぅー!」
「これさっきまでとは別のパターン組まなきゃいけないやつじゃないか、しかもより複雑なのを!あぁ~クソォこれじゃ今までの苦労も何もかもパァだ!!」
「二人プレイってゲームを簡単にするためのものじゃないのですか冗談じゃないですよクソったれ!」
非難の声を上げる二人組に、腕組みしながら呆れ顔のジンが応える。
「まぁそういう考え方もある。でもなぁ、プレイヤーが二人いれば簡単にクリアできるとなれば、それじゃあ一人でしかプレイできないヤツはどうする?
俺個人としては、協力プレイというのはあくまで一つのゲームを仲間と一緒に楽しむためのものだと考えている。
となれば、一人でプレイしている時と同じ歯ごたえを提供してあげなきゃ楽しくないだろ?仲間と一緒に困難を乗り越えてこその達成感だ。
……ということで二人プレイ時にはそれ用の難易度を設定させてもらったから。改めて楽しんでいってくれ」
「そんな親切心の前にですねぇ!!!!」
「他に根本的に!!!!」
「やることがァ!!!!」
「あるだろォォーーーーーーッ!!!!」
二人組は完全に憤慨し、手にしたコントローラーをへし折った。
その光景を見たジンが、眼を丸くして大げさな声をあげる。
「あぁー!あんたら、今大変なことをしてくれましたなぁ!」
「「…………あ」」
その声に、《悪魔教会》ズも自分達が何をやったのかを思い知った。
手元には二つに折れたコントローラー。ゲームをプレイするための唯一の手段。
ひと目見れば分かる、こうなってしまえばもうこのコントローラーは使えないだろう。
だとすれば、これから一体どうやってゲームをプレイすればいいのか。
顔から血の気が失せ、着せ替えアプリを使う前のレヴィアタンもかくやあらんという真っ青な顔になる二人。
「はいこうなったらゲームの続行は不可能でーす、お二人のリタイアとして判定をさせていただきまーす!はい終了!撤収撤収~」
ジンが頭の上で両手をブンブン振りながら声高らかに宣言する。
「い、いやいや!」
「ちょっと待ってくれ!」
「抗議は受け付けませーん!ゲーム機の破壊はプレイヤーとして一番やってはいけない唾棄すべき行為。これをした以上あんたらの完全敗北でーす!」
そそくさとゲーム機を回収するジン。
折れたコントローラーも彼の手元に吸い込まれ消えてしまった。
「っていうことで俺らはもう帰るわ。お疲れ様、壊れたコントローラーの弁償代は結構、こちらで修理するよ。そんじゃあさようなら~」
「我ですらやらなかったことを斯くも平然とやってのけるとは……その体たらくでよくもまぁ悪魔の協力者を名乗れるな。
物に当たるなよさすがにヒくわぁ、笑えんわ」
「いやあんたはあんたで地形に当たってたよ。田園地帯真っ二つにしてたよ?」
「あれは数に数えない。ノーカウントだ」
そんな台詞を吐き捨ててそのままジンとレヴィアタンは路地裏から去っていく。
その背中をしばらく呆然と眺めていた《悪魔協会》ズだったが。
「ふ、ふざけないで頂きたいぃ……ッ」
「このまま帰すと思うなよ!」
地面に捨てたナイフを拾い、今度こそその刃を突き立てようと身構える。
が、その瞬間だった。
「《悪魔教会》!ここにいるのか!!」
突然背後から聞こえてくる声。
路地の奥からレンビッツの自警団がやってきたのだ。
「嘘でしょぉっ!?」
「本当に街の連中に知られたのか!?今の今だぞ対応が早すぎるだろ!」
彼らがゲームをリタイアしたことで、ジンの宣言通り自警団に《悪魔教会》の存在が知られてしまったのだ。
単なる脅しだと思いきや、まさか本当だとは。これはもう四の五の言っている場合ではない。
慌ててその場から離れようとする二人組だったが。
「うおおおおおおなぜだか分からんが急にここに《悪魔教会》だとかいう危険分子がいるような気がしてきたぞ街を守るために全力を尽くすぞうおおおおおお!!」
前からも数人の自警団員が押し寄せてきた。
人目につかないよう狭い路地に入ったのが逆に致命的だった。
《悪魔教会》ズの命運は、ここで決した。




