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2-8.シューティングの基本はパターン化!(悪癖)



「アホ~~~~~。見えない弾を敵が撃ってきて当たったら負けとかア~~~~~ホ~~~~~~」


 男は地面にあおむけに寝そべり、駄々っ子のように手足をじたばたさせている。

 どうやら相当な精神的ダメージを負い、心が崩壊してしまったようだ。

 しかしそれを、《悪魔教会》の仲間である男Bが正気に戻そうと必死に呼びかける。


「落ち着け!頼む、戻ってきてくれ!まだ諦めるわけにはいかない、俺はお前を信じているんだ!」


 美しい友情である。


「じゃあどうしろっていうのですか!」


 仲間に呼び戻されてもなお、傷の癒えない男A。

 それに対し、どうやら男Bには考えがあるようだった。


「これは推測なんだが、おそらく敵はでたらめに弾を撃ってるんじゃなくあくまで自機を狙っていると思うんだ。

 だからこちらが常に動き回っていれば、例え見えない弾だろうと当たることはないんじゃないだろうか?」

「あ そ う か っ ! ! 自機を狙っているのなら、その弾の軌道に入らないように動けばちゃんと避けられる。……いや、もしそうじゃなかったらどうするのです!」

「仮に違ったとしても、敵の攻撃には何らかの規則性があるはずだ。

 それを把握して自機の動きを完全に固定化する。パターンを構築するんだよ。

 俺はこのゲームはそういうものだと思う」


 理に叶った判断ではある。

 もしこの仮説が正しければ、理論上は100%このゲームをクリア可能だ。


「なるほど……やってみる価値はあるかもしれませんねぇ」

「パターンが出来上がるまでが過酷だ。かなり大変だと思うが、頑張ってくれ!」

「よし、やってみましょう。……ところでなんですが、貴方はこれプレイしないのですか?」

「………………」


 黙り込む男B


「ちょっと?」

「いやほら、俺はここでアドバイスする役っていうかさ」

「………………」


 重苦しい沈黙がしばし流れた後、ゲームは再開された。



        ※※※



 それから先は、地獄のようなプレイが続いた。

 次々と現れる敵が放つ、背景と同化して見えない弾を避けながら進む。

 哀しいことに、敵は自機を狙っているという予想は半分正解で半分不正解だった。

 そのような弾もあれば、逆に動き回っていると被弾するようにあえて自機を狙わず二股に別れた2WAY弾を撃ってくる敵もいた。

 それらの攻撃も一切目視ができないのだ。どうやって攻撃を回避するかは完全な手探り、文字通りの暗中模索だった。

 ゲームオーバーの回数はすでに二桁に達していた。

 それでも、『規則性がある』という考えそのものはそのものズバリ合っていた。

 敵が出現する間隔、数、そして撃ってくる弾の起動と速度。それは絶対に変わらない。

 だからこそ、一つ一つの状況に対して取るべき行動を固定し、毎回その通りに自機を動かせば絶対に突破出来る。

 これこそがパターン化である。

 それを幾度となく繰り返し、少しずつゲームは進行していた。


「………………」


 長時間モニターを凝視していることによる眼精疲労と、パターンが少しでも崩れればゲームオーバーになる極度の緊張により、男Aは相当に憔悴していた。


 そんな中、敵の出現がしばらくの間止まる。それが何らかの前兆であることはすぐに分かった。その前兆の正体というものも、すぐに姿を現した。

 画面上部から、自機の数倍はあろうかという巨大なオブジェクトが出現したのだ。カクカクした円盤のような物体だ。

 間違いない、これは、


「ボスだ!」


 ついにこのステージのボスが出現し、そのまま戦闘に突入した。

 自機が攻撃すると、お返しとばかりにボスも弾を撃ってくる。

 その数は非常に多い。

 自機狙いと言わず、四方八方へとデタラメに弾をばらまいている。

 そう、ばらまいているのだ。それが目で見て分かるのだ。


「見える……敵の弾が、み、見える。やった、背景と同化していない!

 これなら眼で見て躱せますよぉ!」


 希望が見えてきた。なにせこれまで目に見えない攻撃を受け続けてきたのだ。

 それが見えるようになったというだけでも、精神的には余裕が出来る。


「は、ははは!見えた、弾と一緒にこのゲームの底も見えましたねぇ!」


 チュゴォォ…


 自機が爆発した。


「………………」


 何が起こったのか分からない。最初に撃破された時と同じだ。


 ……いや、それは違う。今度は目で見えた。

 突然ボスが異様なまでの速さの弾を撃ってきて、それが命中したのだ。

 一瞬だけ、自機に小さな点が飛来するのが確かに見えた。


「………………はぁ?」


 男Aは表情のない顔で男Bに視線を向ける。

 その間もゲームはリスタートし、動きの止まった自機が次々に撃破されゲームオーバーになっていく。

 男Bは察しがついたのか、絶望した表情で顔を押さえた。


「あのボスは一定の時間ごとに、自機狙いの超高速弾を撃ってくるみたいだ。

 それを躱すためには、敵が攻撃するタイミングを見計らって今移動している方向とは逆方向に切り返すしかない。ジャストのタイミングで」

「……寸分の違いもなく?」

「寸分の違いもなく。少しでもタイミングがずれたら多分回避できない」

「つまり、戦闘が始まってからの時間まで頭の中で数えろと?向こうがばら撒いてくる他の弾も避けながら?」

「そうだ……」


 男Aは白目を剥いて卒倒した。

 言っていることのあまりの無茶ぶりに脳がパンクしたのである。


「男Aーーーーッ!!」

(便宜上キャラの台詞を改変しています)



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